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接種準備は?自治体“本音”アンケート

2021年1月27日 16:49
接種準備は?自治体“本音”アンケート

新型コロナウイルスのワクチン接種に向け準備を進める東京都内の自治体に対し、先週、日本テレビがアンケートを行った。ワクチン接種に向けた準備状況や国の情報発信などについて、自治体の「ホンネ」に迫る。

日本テレビは、1月18日から22日にかけて、東京都の23区と26市、関東地方の5つの政令指定都市のあわせて54の自治体に、新型コロナのワクチン接種の準備状況についてアンケートを行い、50の自治体から回答を得た。

多くの自治体から上がったのは「国の情報提供が少なすぎる」という声。ワクチンの供給量や時期などがわからず、接種会場の日程や人員数を決められないという焦りや、予算面での不安なども聞かれた。

アンケート結果は以下の通り。

■「接種体制」について
(1)大規模会場のみ構築する………………… 2.0%
(2)大規模会場と地元の医療機関の併用…62.0%
(3)まだ決まっていない……………………36.0%

「大規模会場を主軸に検討中」という市もあれば、「医療機関を中心とする接種を検討」という市も。「大規模会場と地元医療機関の併用で実施しないと接種人数が多いため難しいと考えるが、医師会と調整中」という意見もあり、地元医師会と現在、調整を続けている自治体が多数。

■接種場所の選定について
(1)すべて決まっている……… 0.0%
(2)一部決まっている…………38.0%
(3)すべて検討中………………62.0%

「3密回避しながら動線確保しなければならず、道路の混雑や駐車場・駐輪場の確保など会場外にも配慮が必要」などとして、検討中という意見が多数。中には、「ワクチンの分配量と時期が不明確であるため、接種会場と数を決められない」という意見も。

■接種を担当する医師について
(1)すべて決定した…………………… 0.0%
(2)一部決まったが、調整中もある…12.0%
(3)すべて調整中………………………88.0%

「医師会と調整中」という自治体が多数。会場と同様に「ワクチンの分配量と時期が不明確のため必要人数を決められず確保できない状況」という声も。

■接種会場の人員(受け付けや事務など)について
(1)必要な人員を確保済み…………… 0.0%
(2)人員確保に向けて募集・調整中…56.0%
(3)まだ決まっていない………………44.0%

「医療機関のスタッフに受け付けや事務をお願いする」「事業者に委託予定」といった意見がある中、「外部委託で人員確保を検討しているが、国の補助額では賄えない場合は、全庁から応援職員を確保する必要がある」として職員の投入を検討する自治体も。

■予約システムの構築
(1)電話で予約受け付け……………………… 2.0%
(2)電話とインターネットで予約受け付け…72.0%
(3)まだ決まっていない………………………24.0%
(4)無回答……………………………………… 2.0%

「市独自の予約システムを構築し稼働に向け準備中」という自治体もあれば、「電話とインターネットの両方」という自治体、「インターネット予約は考えていない」「予約システムを構築する時間的余裕がなく、原則、医療機関に電話で予約を取っていただく」など、自治体により様々。中には「FAXも検討」「インターネットを利用できない方や配慮が必要な方にも利用できる仕組みの構築が必要」といった意見も。

■クーポン券の発行準備・印刷
(1)すでに準備完了…… 4.0%
(2)調整中………………92.0%
(3)これから準備する… 4.0%

「印刷に向け、国による様式の最終決定を待っている状況」「業者からの統一様式等の情報提供が遅いため、印刷スケジュールの調整が難しい」といった、国から仕様が示されず準備が進まないという声が複数。

■住民の相談窓口(接種や副反応について)の体制
(1)設置準備が完了………… 0.0%
(2)設置するがまだ調整中…88.0%
(3)決まっていない…………12.0%

「接種に関する問い合わせや相談は市町村で対応するが、副反応に対する相談など専門的な相談窓口は都道府県で設置することになっている」「コールセンターを設置して市民相談に対応できるよう調整するが、副反応など医学的な相談は県が対応する」など、接種に向けての市民相談窓口は設置するが、副反応に関する相談は都道府県に任せる、という声が多数。(※国の説明会資料でも、都道府県ごとに相談窓口を設置することとなっている)

■接種メドである3月末に、高齢者優先接種を開始できますか?
(1)できる……………28.0%
(2)まだわからない…66.0%
(3)現状だと厳しい… 4.0%
(4)無回答…………… 2.0%

「できる」と回答した自治体は、「接種開始を絶対条件として準備しているので(自分の自治体だけ)開始時期が遅れることはできない」「3月末開始は必須であるため、確実に体制を整備しなければならないと考えている」といった、国が示したメドに沿って準備を進めるという意見。

一方、「まだわからない」「現状だと厳しい」と答えた自治体は、「ワクチンの供給時期や移送、管理方法などの情報が少ないため実施時期は未定」、「医療従事者の接種体制の構築も具体化していないため」などと回答。

■国からの情報提供は十分ですか?
(1)十分だと思う………………… 0.0%
(2)やや足りない…………………28.0%
(3)もっと情報提供してほしい…70.0%
(4)無回答………………………… 2.0%

「現状の情報量では予算措置、委託業者との調整、医師会との調整等困難を極めている」、「情報提供が遅いため、準備期間が足りない」「自治体以外の医療機関に対して、基本的な情報を含め、本来渡っているはずの情報が全く行き渡っていないことについて、危機感を感じている」など、全自治体が、国からの情報不足を指摘。


■不安・困っている点は? ※複数回答可、回答の多い順

(1)準備時間が足りない………………………90.0%
(2)会場や人員の整備…………………………86.0%
(3)副反応への備え……………………………76.0%
(4)クーポン配布や予約など住民への対応…74.0%
(5)ワクチンの低温管理………………………72.0%
(6)医師会との調整……………………………66.0%
(7)その他………………………………………34.0%

「すべてにおいて不安しかない」「全部困っている」といった切実な声が複数寄せられたほか、保健所を持たず、予防接種事業の経験がない自治体からは「ほとんど経験したことがない作業を求められることになり不安である」といった声も。また、財政面について「国の補助額では予算が全く足りない」「大幅な赤字になる」「数千万円規模で財政的リソースが不足している」といった不安の声が14自治体から寄せられた。
(※なお、1月25日の厚労省の自治体説明会、1月26日の河野太郎ワクチン接種担当相の会見でも「接種にかかる費用を国が全額負担する」方針が示された)