“寅さん”舞台閉店へ 学生の新生活支援も
緊急事態宣言の解除を待たず、東京で、創業231年の店が1月末で閉店することとなりました。イベントや飲食店がコロナ禍の影響を受ける中、この春、新生活を迎える学生にとって、心強い支援も誕生しています。
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東京に2度目の緊急事態宣言が出されて、まもなく3週間。その解除を待たず、下町の老舗が苦渋の決断を下しました。創業231年、東京葛飾柴又の「川甚」。ふっくら柔らかい鰻重や、鯉の洗いなどの川魚料理が名物で、その味に惚れ込んだ文豪も数しれません。
そして、その名を一躍世間へと広めたのが、日本が誇る名作映画、「男はつらいよ」の第1作で、寅さんの妹・さくらの結婚披露宴の舞台として登場したことです。
しかし、売り上げが例年の2割ほどにまで減少。8代目の店主天宮さんは、これ以上傷口を広げないようにと、今月いっぱいで店を畳むことを決めたのです。
川甚8代目店主・天宮一輝さん(69)「一番困るのは従業員だし、出入り業者さんにも迷惑かけるようなことになると大変だし、地域の人に迷惑かけるようなことになったら、これだけ長らくお世話になった場所、そう考えたらやっぱり今ここで、自分で(閉店の)決断しなかったらいけないなと」
従業員全員を集めて、頭を下げたという天宮さん。その足で帝釈天へと向かい。
天宮一輝さん(69)「うちの墓石の前で声には出さないですけど、頭下げてきましたよ(先祖に)申し訳ないということで」
柴又のシンボルの灯りを消した緊急事態宣言。
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桜を照らすこの灯りも消えることとなりました。東京の花見の名所「千鳥ヶ淵」。区や地元団体で開催する「さくらまつり」には、毎年100万人以上が訪れていました。開催時期は例年3月末頃、まだ2か月も先なのですが。
千代田区観光協会・松本博之専務理事 「今年は、さくらまつりは中止ということで、千鳥ヶ淵も夜間のライトアップを例年するけどそれも実施しない」
関係する地元団体に迷惑をかけないよう、宣言が出された当日に中止を発表。2年連続中止となりました。区は千鳥ヶ淵の映像をライブ配信していて、オンラインでの花見を呼びかけています。
松本博之専務理事「本当に残念ではありますけど、コロナに関係なく桜は毎年咲いてくれますので、来年以降ゆっくりお楽しみいただければと思います」
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学生の姿が消え閑散とした学生街。それでも春に向けて奮闘を続ける人がいます。早稲田大学の目の前に店を構え、安いのにボリューム満点。長年早大生の胃袋を支え続けてきた三品食堂の店主北上さんです。去年、後期の授業再開時には、店に活気が戻ったといいますが。
三品食堂・北上昌夫店主「宣言が出ちゃったもんだから、またがくっと落ちちゃって。(売り上げは)2割くらい」
宣言以降は、売り上げは激減。もともと昼のみの営業のため都の協力金ももらえず、店はとうに限界を迎えています。しかし、それでも「すいませんいただきます」と、卒業後も食事に来て、励ましの言葉をかけてくれるOBたち。
北上昌夫店主「今月分これ最後、今度また4月からお願いしますよろしくね」
学生アルバイト「また希望出したいと思います」
北上昌夫店主「元気でね、ご苦労さん」
コロナで生活に困窮する現役生のため。そして春、また新たな学生たちと出会えることを楽しみに。
北上昌夫店主「学生との絆を大事にしたいし、いつまでも関わりを持っていたい。とにかく乗り切らないとどうしようもないので、頑張りたいと思います」
貯金をとり崩してアルバイトを雇い続けるなど、学生を支え続けるため。なんとしても店は存続したいと話しています。
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さらにこの春、新生活を迎える学生にとって心強い支援も。
ユニライフエリアマネージャー・鎌田俊亮さん「学生マンションによって内容は異なりますが、敷金が無料、また1年間、家賃が大幅に減額されるプランを用意しています」
この1年間経済的な理由で、学生から住み替えの相談を多く受けてきたというこちらの会社。少しでも新生活に希望を持てるようにと、割引キャンペーンを開始し、すでに50件ほどの申し込みがあったということです。
鎌田俊亮さん「今年の春ご進学される方々、応援させていただきたいと思います。受験シーズンとなりますが、体調にも気をつけて頑張っていただきたい」