“大麻グミ”違法に? どんどん出てくる合成化合物…“いたちごっこ”どうする? 【#みんなのギモン】
いわゆる“大麻グミ”から検出された合成化合物「HHCH」が、22日から新たに「指定薬物」になりました。
11日夕方、九州厚生局麻薬取締部などは、「大麻グミ」を販売している疑いがあるとして、福岡県内の2つの店舗に対して立ち入り検査を行いました。のべ59の商品について提出を求め、販売停止命令を出しました。また、札幌市・すすきのの店舗にも道厚生局麻薬取締部などによる立ち入り検査が入りました。
厚生労働省によると、ほかにも東京・大阪・神奈川・宮城の4都府県でもすでに麻薬取締部による立ち入り検査が行われたということです。
●“グミ4個”で…意識不明?
●“いたちごっこ”止められる?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
まず、新たに「指定薬物」となったのが合成化合物「HHCH」です。
大麻グミから検出されたこの「HHCH」について、厚生労働省は21日に審議会で検討したうえで、22日から正式に「指定薬物」としました。そして、周知期間を経て12月2日から所持・使用・流通が禁止されます。
大麻グミで体調が悪くなった事件を、急に耳にするようになりました。都内では立て続けに4件起きています。
・10月7日に港区新橋の飲食店で行われたイベントで、31歳の男性が“大麻グミ”を4個食べたところ、一時意識不明になりました。
・11月3日には墨田区の押上駅、翌4日には小金井市の祭り、そして15日夜には板橋区のマンションと、都内だけで10代~50代の男女少なくとも14人が搬送される事態となっています。
さらに、上記4件の“大麻グミ”はすべて同じ大阪市の会社が製造・販売していました。東京の販売店で見つかったグミからは、指定薬物になった「HHCH」が検出されたことがわかっています。
そもそも合成化合物「HHCH」とは、どんなものなのでしょうか。
薬物の危険性に詳しい湘南医療大学薬学部の舩田正彦教授によると、もともと禁止されている、大麻に含まれている有害成分「THC」の構造式と、今年の8月に新たに指定薬物となった化合物「THCH」の構造式とを比べてみると、その違いはわずか。さらに11月22日から指定薬物となった「HHCH」の構造式と比べても、違いはごくわずかです。
つまり、大麻の成分に非常によく似た「新たな化合物」が、どんどん出てきているのが問題になっているのです。
実際に口にしたとき、どのような危険性があるのでしょうか。
薬物鑑定に詳しい法科学研究センターの雨宮正欣所長は、大麻グミを体内に入れるのは「自ら人体実験に飛び込んでいくような危険な行為」だといいます。
というのも、まだ危険性が十分解明されていない段階なので、体に入れると予想しえない症状が出る危険性があるからです。
さらに、グミの形をしていると、お菓子のグミと見分けがつかないので簡単に食べてしまうように、「危機意識が薄れてしまうことも危ない」といいます。
今回、新たに「HHCH」が指定薬物となりました。しかし、合成すれば、大麻に似たような特性を持ちながら規制対象にならないものが、また作られてしまいます。つまり「いたちごっこ」になってしまうという現状があります。
そこで厚労省が「速やかに検討する」としているのが「包括的な薬物指定」、つまり「幅広く、指定する」と言っています。大麻に含まれる“有害成分と似た”構造を持つものは、幅広く規制をしていく、という考え方です。
ただ、雨宮さんは「包括指定には時間がかかる。限度がある」といいます。つまり「どこまでが有害かの判断に時間がかかる」といいます。
また「現時点で規制されていないからといって、まったく安全とは言えない。大麻グミではなく“危険ドラッグ”と思った方がいい」「薬物使用の入り口、つまり“ゲートウエードラッグ”になる危険性を強く意識すべきだ」と話しています。
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興味本位で近づいてしまう子どもたちや若者たちに「一度手を出したら大変なことになる」と、大人の側からどう伝えていくかも問われています。
(2023年11月22日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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