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両陛下「おつらい日々を」宮城被災者と懇談

2021年3月18日 3:31

天皇皇后両陛下は17日、東日本大震災から10年を迎えた宮城県をオンラインで訪問し、気仙沼市と山元町で被災した人たちと懇談されました。主なやりとりを紹介します。

およそ2時間におよんだ今回のオンライン訪問の中で、両陛下は、まず、宮城県知事から復興状況の説明を受け、天皇陛下は「復興復旧に向けて、大変な尽力をされたこと、心から敬意を表します」と、ねぎらわれました。

また、陛下は、心のケアや、新たなコミュニティー作りの課題について質問し、皇后さまは「心に傷を受けたお子さんのことは、本当に心が痛みます」と話し、少しずつ解決に向かうことを願われました。

次に、両陛下は、気仙沼市長からビデオを見ながら、復興状況の説明を受け、陛下は、心のケアへの支援について、質問を重ねられました。

皇后さまは、「当時報道などで、火事や大変な被害の様子にとても心が痛んだ」として、町の整備が進んだことを喜び、「ボランティアで来ていた方が移住して、温かい人と人とのつながりが生まれていることを知り、うれしく思いました」と話されました。

続いて気仙沼市の3人と懇談し、夫や自宅、店を失い、営業を再開させた女性に対し、陛下は「本当につらい思いをされましたね」と心からのお悔やみを伝え、皇后さまは「この10年本当に頑張られましたね」と寄り添われました。

自宅や施設を失いながら、カキの養殖業を再開させ、気仙沼大橋の開通にも尽力した男性に対しては、両陛下は、震災時に島が孤立したことによる苦労をねぎらいつつ、橋の完成と、震災前を上回るカキの収穫量を喜ばれていました。

幼稚園児の時に祖父の家で被災し、現在は語り部の活動をしている15歳の女性には、陛下は、「どういう点を気を付け、どういう点を中心にお話しされていますか」と活動についてたずね、皇后さまは、3日間両親と会えなかったことについて、「ずいぶん心配だったのではないですか」と気遣い、「中学校ご卒業おめでとうございます」と述べられました。

続いて、両陛下は、山元町長から、ビデオを見ながら復興状況の説明を受け、3人と懇談されました。

2017年に、両陛下が宮城県を訪問した時に懇談したいちご農家の男性が、生産が震災前を上回ったと話し、「陛下の激励がみんなの身に染みた」と伝えると、皇后さまは「あの時のいちご、とてもおいしかったです」と笑顔で応えられました。

今は震災遺構となっている小学校で教員として被災し、退職後は語り部の活動をしている女性に対しては、陛下は、避難した屋上の倉庫で、児童らと一晩を過ごしたことについて、「子どもたちに一番気を遣われたのは何でしょうか」と当時の状況を聞き、皇后さまは、「英断というか、的確な判断で、皆さん無事で良かったですね」とねぎらい、両陛下は、学校で今でも交流の活動が続いていることを喜ばれていました。

また、両陛下は、震災があった2011年6月に、避難所を訪れた際に話した女性にも再会されました。女性が、当時のことについて、「大変ですねと手を出されて、泣いてしまいました」と振り返り、「うれしかった」と繰り返すと、皇后さまは「本当におつらい日々でいらしたと思います」と、寄り添われました。

懇談の最後に、陛下は「これからも色々大変なことはあると思いますが、町の復興が順調に進むことを心から祈っております」と語られました。

また、宮城県の新型コロナウイルスの新規感染者数の増加について、心配されていました。

震災10年の節目にあたり、岩手県、宮城県に続き、今後、福島県へのオンライン訪問が予定されています。