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厚労省送別会 店側が語った当日の“事情”

2021年3月31日 12:52
厚労省送別会 店側が語った当日の“事情”

都内で午後9時までの時短要請が続く中、厚生労働省の職員23人が深夜まで銀座で送別会を開いていました。感染対策は取られておらず、課長は更迭。政府や与野党から怒りの声が上がりました。大人数での会食は増えていて、飲食店側も悩みを抱えています。

◇◇◇

■夜桜“禁酒”の中…23人送別会

30日夜、東京・上野公園では、都の担当者によるパトロールが行われていました。夜桜を楽しむ人が集まる中、禁止する飲酒などをしていないか、目を光らせていました。この日は、注意するような行為は見られませんでした。

大学生(22)
「質素にやるというか、静かに花見、という形になりましたね」

多くの人が自粛を強いられる中、物議を醸す問題が明らかになりました。
緊急事態宣言が解除されていた先週水曜日(24日)。銀座のビルに入っている居酒屋に、厚労省の職員が大人数で集まっていました。

午後9時までの時短営業が要請されている中、同省老健局の23人が、午前0時近くまで送別会をしていました。課長を含め、課の職員の3分の2が参加していました。

■居酒屋代表「こんな大人数は…」

30日夜、この居酒屋の代表から話を聞くことができました。

――これだけの大人数の予約はありましたか?
代表
「昨年の緊急事態宣言以降、20名以上の団体は当社としては多分初めてでした。忘年会シーズンでも10名前後が多かったので、こんなに多い人数は久しぶりだったかなと思います」
――23人がいたのは、どういう部屋ですか?
「2か所使っていますが、最大で20名が入る部屋と、15名が入る部屋です」
――お店としての感染対策は?
「通常の店よりは広く、動線も大きく取っているので、例えば20名が入る部屋と、15名が入る部屋の間に2mくらいの通路があるので、特に問題はなかったかと思います」

店としては、検温や消毒など基本的な感染対策を徹底しているといいます。

――時間が延びてしまった原因は?
「非常に難しいところではあると思うのですが、オファーがありました。そもそも19時スタートで21時までの予定だったのが、どうしても残業で遅れてしまうと。なのでその分、何とか(時間を)延ばせないかと。私どもとしては、逆に申し訳ない。お客様のことを守れなかったということが事実ですので、厚労省の方々に申し訳ないなという気持ちを持っております」

■追及に局長「23時まで営業を確認」

30日の参院厚労委員会で、野党は厚労省を追及しました。

立憲民主党・石橋議員
「わざわざ23時までやっているお店を探して、23時までやっていたと。そういうことですか?これ事実ですか?」

厚労省老健局長
「お店の選定につきましては、23時までやっていることを確認した上で予約をしたということでございます」

石橋議員
「21時まで自粛をお願いして、飲食店にも何とか守ってくださいとご協力もお願いしているのに、23時までやっているお店を探して、確認して予約を入れて、やらせてるって、これどういうことですか」

政府は国民に対し、ホームページなどで「ポイントをおさえて会食しよう!」と呼びかけています。食事は「短時間」で「深酒をせず」「大声を出さず」、会話の時は「マスクを着用」。できるだけ「家族か、4人まで」としています。

立憲民主党・川田議員
「この送別会っていうのは、何時からスタートだったんですか」
局長
「問題の送別会でございますけれども、3月24日の19時15分ごろから23時50分ごろまでだったと現時点では報告を受けております」
送別会は4時間半余りに及んでいました。

田村厚労相
「マスクを外して大きな声でしゃべっておったということで、言語道断でございます。深くお詫びを申し上げます」

政府が呼びかける、いずれの感染対策も取られていませんでした。

■街の声 「会社のルール」徹底

都内で30日、街の人に聞きました。

会社員(43)
「うちの会社も会食はなるべく行くな。飲み会とかもリモートにしろ、と(言っています)」
会社員(30代)
「社内・社外どちらも懇親会系は一切禁止。お昼とかも今、1人で食べるように、会社としてルールがあるので」

「呼びかけている方がお手本となることで、私たちも協力しようと思えるので、不信感が生まれますね」という声も聞かれました。

■首相陳謝 課長更迭

今回の問題に、政府・与野党問わず、怒り心頭です。

加藤官房長官
「その話を聞いた時に、正直言って、『一体何をやっているんだ』と」
立憲民主党・安住国対委員長
「何度も何度も、与党も政府も国民に非常に自粛を強いておきながら、『自分たちは銀座で23人で大宴会かよ』という話になりますから、これは厳しい対応をしたい」

30日夜、菅首相は田村厚労相の横で陳謝しました。
「大変申し訳ないことであって、(田村)大臣からも厳しく、こうしたことが二度と再び起きないように、点検と厳重な対処、そうしたことをしました」

厚労省は、送別会に参加していた老健局老人保健課の課長を、大臣官房付に異動させると発表しました。事実上の更迭です。田村厚労相は責任を取るとして、大臣給与2か月分を自主返納するといいます。

■飲食店「もどかしい」…悩みも

今、大人数での会食が増えているといいます。
東京都中央区の飲食店では宣言解除後、5人以上の会食の予約がずらりと入っています。

店長
「やっとお客様が戻ってきたなという半面、今後(感染が)また増えて、緊急事態宣言などが始まってしまうと、またこっちも困ってしまうので、どこまでお客様を入れて、どこから断った方がいいのか、線引きができないので、もどかしい」

(3月30日『news zero』より)