酒提供「自粛」で…分かれる対応 混乱も
4都府県に25日から出された緊急事態宣言では、酒提供の自粛が求められました。酒が夜の売り上げの大きなウェイトを占める飲食店からは悲鳴が上がり、「時短営業」「休業」と対応が分かれています。一方、休業要請の線引きをめぐり、混乱も生じています。
■「死活問題」少しでも売り上げを
今回の緊急事態宣言での要請に伴い、飲食店の対応が分かれています。
都内のお好み焼き店では、酒の提供を自粛し、午後8時までの時短営業をしていますが、酒を提供していないことが分かると、帰る客も。
店長は「緊急事態宣言中なんで…すみません」と申し訳なさそうに応対していました。
店にいた会社員の男性(43)は、「アルコールが飲めないので炭酸だけ。気持ちだけ」と炭酸水を頼んでいました。
店長
「(酒提供の自粛は)もちろん厳しいですね。夜の売り上げは大半がアルコールが占めているので。少しでも売り上げを上げないと、僕らはもう死活問題なんで。酒なしでもやらんといけんっていう感じです」
■ビール「もう廃棄処分するしか」
別の選択をしたのは、ドイツビールが売りのビアレストランです。
社長
「まだ20リットルくらい残っているんですけど、(酒提供自粛で)もう廃棄処分するしかないかなと思っております。ビアレストランにビールがないのは、コーヒー店にコーヒーがないのと一緒なので」
緊急事態宣言に入る前日の24日は、駆け込みの客でにぎわっていましたが、26日はほとんど客は訪れませんでした。売り上げの約6割を占めていた酒が出せなくなった影響が大きいといいます。
社長
「いかに赤字を少なくするか。それが一番考えたところでした」
食材を無駄にしないため、28日までは酒なしで営業しますが、29日から宣言解除まで休業することを決めました。
■線引き混乱……「無観客」解釈は
一方、休業要請の対象かどうかの線引きがあいまいで、混乱する店もあります。
都内の書店を訪ねると、社長は「非常に分かりにくいですね」とこぼしました。
23日に都が示したガイドラインでは書店が休業要請の対象かどうか分かりにくかったため、書店商業組合が都に確認しました。すると「社会生活を維持する上で必要」との理由から「休業要請には該当しない」と回答を得たといいます。
「休業を決めてしまって休業に入ってしまっている店もあるわけじゃないですか。最初からこんなの、きちんとするべきですよね」と社長は訴えます。
都内のバッティングセンターも、似た悩みを抱えていました。屋外のバッティングセンターなどには、無観客での開催が要請されています。
店長
「『無観客』という意味が正直言って、すごく分かりにくくて」
都によると、「1人で利用するのはいいが、後ろに観客を入れることを避けてほしい」という意味といいます。店長は「ご家族とかお友達、仲間とお見えになるので、待っている人たちが観客かというと、私はそうは思いません」
■但し書きを根拠に「客アリ」で
同じく「無観客」での開催が求められているのが、演芸場です。しかし26日、新宿末廣亭では、客を入れて寄席が行われていました。その理由は、都からの要請にあった、「社会生活の維持に必要なものを除く」という但し書きでした。
末廣亭はSNSで「(寄席は)社会生活の維持に必要なものであると解釈しております」と投稿。「観客あり」で営業ができると判断しました。
寄席を見た客
「アクリル板を前にやって、演者の息がかからないようにしている努力(がされていました)」
――寄席は生活に必要なものになっていますか?
「そうですね。やっぱり、潤いのある生活をしたい」
(4月26日『news zero』より)