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「酒持ち込みOK」の店続々 都は自粛要請

2021年4月28日 13:04
「酒持ち込みOK」の店続々 都は自粛要請

緊急事態宣言による酒提供の自粛要請を受け、都内で酒を持ち込みOKにする店が相次いでいます。都は自粛を求めますが、店や街の人の受け止めは…。また、川崎市の店に東京から客が“越境”したり、結婚式がキャンセルになったりと、影響が広がっています。


■持ち込み可の店「場所提供しようと」

27日午後7時、東京都千代田区で取材しました。

佐藤梨那アナウンサー
「飲食店が立ち並ぶ通りですが、朝5時まで営業しているお店があります。そのすぐ向かいのお店の看板には、『酒類持ち込みお願いします』と書かれています」

緊急事態宣言下、酒の提供自粛が求められる中で、客に持ち込みを認める店がありました。

東京・新橋でも、「ドリンク(酒)持ち込みでの営業となります」と表示を掲げている店や、持ち込む場合に「お一人様1000円入場料として頂戴致します」と注意書きする店もあります。お酒の缶が置いてあるテーブルもありました。

持ち込みを許可している店に取材すると、店側は「路上飲みのニュースを見て、周りにも迷惑だし、それだったら場所を提供しようと思った。都のホームページを見ても、お酒の持ち込みまでダメだと書いていなかったので」と説明しました。


■都「場の提供も含む」と自粛要請

街の人に聞きました。

――持ち込みOKの店があると、行きたいと思いますか?

大学生(20)
「いや、そこまでして僕は飲みたいなって思わないです。(要請を)守っている店の方が正直、印象良いと思うので、そっちの店に入りたいです」

管理栄養士(25)
「個人の判断かなと思って。自分の判断だし、自己責任だし」

東京都はツイッターで「酒類の提供とは、お酒の場の提供も含みますので、お酒の持ち込みも止めていただくよう、お願いいたします」と呼びかけました。西村大臣は「実態を見ながら対応を考えていきたい」と述べました。

東京の新たな感染者は828人。火曜日としては約3か月ぶりに800人を超えました。

これまでにも大規模なクラスターが発生している葛飾区の老人ホームでは、新たに77人の感染が確認され、この施設での感染者は少なくとも151人になりました。また、変異ウイルスの感染は新たに245人が確認されました。小学校クラスターもあり、児童8人が感染したということです。


■「お酒飲めない結婚式」取りやめに

影響は、結婚式や披露宴などを行う都内のホテルにも及んでいました。感染拡大を理由に日程変更やキャンセルが相次いでいるといいます。

総支配人
「お酒が提供できないというのが一番大きな要因で、『お酒飲めない結婚式ってないよね』というのが、新郎新婦のおもてなしの部分の気持ちではあるのかなと(思います)」

都内のあらゆる場所で求められる酒の提供自粛ですが、東京に隣接する神奈川県川崎市の飲食店には最近、都内で飲めない客らが多く訪れるといいます。

ただ、28日から「まん延防止等重点措置」が強化され、神奈川県でも川崎市など対象地域の飲食店は終日、酒の提供自粛が求められることになります。

川崎市内の飲食店では、生ビールの樽や、日本酒の瓶などが並んでいましたが、こうした在庫は最悪、廃棄することになります。店側は「(お酒が出せなくなるので)かなり経営的には落ち込むのではないかと懸念しています」と気をもんでいます。


■黒岩知事「我慢のウイーク」と

神奈川県の黒岩知事は27日の会見でフリップを掲げ、道路情報板や横断歩道橋で『今は、神奈川に遊びに来ないで』と表示して呼びかけることを明らかにしました。「ゴールデンウイークは今年も『我慢のウイーク』です」と述べました。

27日夜、厚労省の専門家会議が危機感を示したのも、ゴールデンウイークでした。

厚労省アドバイザリーボードの脇田座長は会見で、「これからゴールデンウイークなので、緊急事態宣言の(出ている)場所、(まん延防止等)重点措置が敷かれている地域からの県境を越えた移動を、より一層抑えていくことが必要」と訴えました。

夜8~10時に都内の主要な繁華街にとどまっている人数は、東京で「まん延防止措置」適用後に下がったものの、緊急事態宣言が出る直前に再び増加。その背景として、宣言発出前の駆け込み会食の可能性を指摘しました。

その上で「東京はゴールデンウイーク中の感染者数が連日増加する可能性がある」との分析も出されています。


■大阪「大人数の会食」 知事ら陳謝

大阪府の吉村知事が27日、「府民の皆様に深くお詫びを申し上げます」と頭を下げました。

5人以上の会食自粛などを呼びかけていた3月1日から約1か月の間で、大阪府の職員と教職員合わせて745人が、呼びかけに反する会食を行っていたことが明らかになりました。吉村知事は「府の職員としてはやっぱりこれは許されない行為ですし、厳正に対処したい」と述べました。

また大阪市の調査でも、呼びかけに反した会食を348件確認。参加者は合計で1611人にのぼります。

この日の大阪の感染者は過去2番目に多い1230人。兵庫県は505人で、火曜日の過去最多を更新しました。


■奈良で騒動 「イート」追加販売も…

大阪などに隣接する奈良県では、ある騒動が起きました。

それは、奈良県が26日、15億円分の「GoToイート」の食事券の追加販売を始めたことをめぐるもの。荒井知事は「県内の飲食店で感染が拡大している証拠はない」との考えを繰り返し示していました。

県民からは「人が増えますんでね。だから怖いですよね。何を考えてはるのか分かりません、あの知事は」と批判の声が聞かれました。

27日に会見した荒井知事は「GoToイート事業の食事券の追加販売は(県独自の)緊急対処措置期間中は停止をいたします」と、一転して5月11日まで販売停止を表明。事務的なミスだったと弁解しました。

荒井知事
「私のところまで情報が来なかったということですね」

――知事があずかり知らないところで起こった?
「事実はそういうことです。しかし責任はみな、私にございますので」

販売済みの食事券についても、5月11日まで利用を控えるよう呼びかけています。

27日の全国の感染者は4966人と、火曜日としては過去2番目に多くなりました。また60人の死亡が確認されました(午後10時半時点)。

26日時点の全国の重症者は916人。900人を超えるのは2月1日以来で、増加が続いています。

(4月27日『news zero』より)