マスク着用…どの程度徹底? 感染者を調査
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が追加される動きがある中で、東京都が感染者を対象に行った「マスク着用などの感染対策がどの程度、徹底したか」などの行動についての調査結果が発表されました。飲酒を伴う懇親会への参加は、4月に倍増したという結果も…。詳しく解説します。
■専門家「反発」 北海道・岡山・広島も緊急事態宣言に追加へ
現在、緊急事態宣言が出されているのは、東京や大阪など6つの都府県です。これに加えて北海道、岡山、広島も対象となる見通しとなりました。そして、まん延防止等重点措置についても、新たに群馬・石川・熊本に出されることになりました。期間は16日から来月13日まで。追加される3道県での緊急事態宣言もスタートは同じですが、期限は今月31日までです。
注目したいのは、緊急事態宣言の対象となる北海道、岡山、広島です。
14日朝、専門家に政府の方針を諮る分科会が開かれ、冒頭で政府は「新たに岡山・広島を含めた5つの県を『まん延防止等重点措置』に加える」案を提案しました。ところが専門家から強い反発が示され、この案は取り下げられ、現在、まん延防止等重点措置がとられている北海道と、岡山、広島を『緊急事態宣言』の対象とする案が了承されました。専門家に一旦、諮問した案を取り下げるのは初めてです。
■“宣言”に切り替えた理由(1)「急速な感染拡大」
専門家が反発した理由は何か、分科会のメンバーは次のように話しています。
釜萢敏氏
「それぞれに人口規模も大きく、かつ県庁所在地を中心にかなり幅広く感染が広がっており、また非常に感染の拡大の速度が速い。すぐに関西やあるいは愛知と同様の状況になるということが、大変強く懸念される」
まん延防止等重点措置ではなく、緊急事態宣言に切り替えとなった理由の1つは、急速な感染拡大です。それぞれの県の新規感染者数をみると、北海道、岡山、広島ともに今月に入ったあたりから急増していて、ここ数日のうちに過去最多を更新しています。
11日までの直近1週間の感染者数を人口10万人あたりで表した数字でみてみると、北海道、岡山は、東京よりも多く、いずれも国の指標では最も深刻な状況を示す「ステージ4」に相当します。病床使用率も北海道は49%、岡山県は71.1%、広島県は56.8%と、いずれも東京より高い水準となっています。このように医療体制のひっ迫が懸念されることも、緊急事態宣言となった背景にあります。
■“宣言”に切り替えた理由(2)「メッセージ性」「北海道がトリガー」
方針が変わった理由は、ほかにもあります。政府関係者は「北海道は広いから地域を限定できるまん延防止等重点措置が適していると判断したが、専門家は、『緊急事態宣言の方がメッセージ性がある』と主張した」と話しています。一方で、政府高官は「北海道がトリガー(引き金)だった」「北海道に宣言を発出するなら、岡山と広島も…となった」と話しています。
これを受けて、各自治体の知事は次のように話しています。
岡山県・伊原木知事
「緊急事態宣言も含めてお願いはしてきたわけで、この動きは歓迎したい」
広島県・湯崎知事
「まん延防止措置だと聞いていたので、最終的な固めがまだできていないが、厳しい対策が必要であると国の方でも共有していただいた結果だ」
緊急事態宣言も必要な状況だという、肯定的な意見でした。
北海道は、緊急事態宣言について、当初、札幌市だけを対象に求めていましたが、緊急事態宣言は都道府県単位で設定されると言われていることから、これが全域となるのか、対象範囲については、今後の判断が注目されます。
■マスク着用など どの程度、徹底? 感染者を調査
緊急事態宣言が拡大する動きがある中で、「マスク着用」など、これまでの通りの対策がどの程度、徹底されているのか、東京都が感染者を対象に行った行動調査が発表されました。
今年2月から4月にかけて自宅やホテルで療養していた人、約2300人を対象に、発症した日から2週間前までさかのぼり、行動や自覚症状を聞いたものです。
(1)感染がわかる前の14日間に、同居者以外とマスクをせずに会話したか?
「はい」が「24.5%」。4分の1の人がマスクをはずして会話をしていました。「はい」と答えた人を年代別に見てみると、10代、20代では「35%」前後と、他の年代よりマスクをはずして会話していた割合が多くなっていました。
(2)飲酒を伴う懇親会などに参加したか?
「はい」が「15.5%」。参加した時期については「2月~3月」が「9.5%」だったのに対し、4月に入ると「18.3%」と倍増していました。4月に参加した人を年代別、性別で見てみると、全般的に男性の方が多く、特に20代?50代が2割前後、女性では20代?30代が多くなっています。比較的、若者や働き盛りの世代で、懇親会などへの参加が拡大していることが分かります。
(3)自覚症状は?
自覚症状について聞いたところ、「発熱 65.1%」「頭痛 57.4%」「倦怠感 57.0%」と、半数以上の人が、こうした症状を自覚していました。他にも、「嗅覚障害 30.6%」「味覚障害 23.0%」「筋肉痛 21.4%」「下痢 18.7%」など、自覚症状は多岐に渡っていることが分かります。
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なるべく経済への影響を小さくしたい政府側の意向と、緊急事態というメッセージ性を強く打ち出したい専門家の間でせめぎ合いがあり、結局、専門家側の危機感がより反映された形となりました。それだけ、医療のひっ迫度合いなどが危機的な状況にあるということを示しています。改めて1人1人が危機意識を高める必要があります。
(2021年5月14日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)