同居6人“家庭内感染”「予防しようない」
第4波の感染経路として増えている家庭内感染。同居する家族、8人中6人が感染したほか、別居する父親を新型コロナウイルスで亡くした40代の男性が、日常を突然奪われた胸のうちを語りました。
「このまま死んだ方がいいんじゃないかと、正直思ったこともあります」
宮崎市に住む40代の男性。先月26日に新型コロナウイルスへの感染が判明しました。
「(子供の学校で)数名、新型コロナの陽性が出た。気づいた時には遅かったという感じですよね。正直な話、家庭内で起こる感染は予防のしようがない」
男性は、妻と子供4人、そして妻の両親の3世代・8人で暮らしていますが、このうち6人が感染。幸せな一家を“家庭内感染”が襲いました。
「私はおそらく変異ウイルスにかかってたと思う。医師がおっしゃるには『変異だからこそ何があるかわからない』と」
男性は当初37.2度ほどの微熱でしたが、2、3日で体調に急激な変化が起こりました。
「症状まず一番初めに感じたのはめまいですね。横になってて起きると目がグルグル回っているなと。(味覚は)何食べても味がしなくなるような感じがあって、(入院した時には)かなりきつさがあって、正直このまま死ぬんじゃないかなと」
家族でも症状や病歴がそれぞれ異なることから入院先なども別々に…。
「子供のことがまずひとつ心配だった。元気になってほしいという思い。(夜は)ベッドの上で家族のこと、これからのこと、仕事のこと、いろんなことが走馬灯のように頭の中に入ってきて寝られないんですよね」
心身ともに追い詰められた男性の救いとなったのは家族とのメッセージのやり取りでした。
長男「体調どんげっすか」
男性「だいぶ元気になってきたよ 食欲があんまりないかな」
長女「みんなが戻ってきたら家の外でバーベキュー食べたい!!」
男性「そやな、みんなで焼き肉 良いにくで」
そして、同じ頃、同居していなかった男性の70代の両親への感染もわかりました。接触はわずかでした。
男性は実の父親と同じ病室で治療を受けることになりました。
「おやじといろいろ会話をしたり、いろいろありましたけど。日に日に悪くなっていく姿を目にすると家族としては一番つらかったですね」
入院から10日余り、急激に悪化する父親の容体。医師から提案されたのは人工呼吸器をつけることでした。
「『つけると話もできなくなりますよ』という話だったんですけど、それも苦渋の決断というか、苦しがってたので少しでも楽させてあげよう」
しかし、男性の父親は帰らぬ人となりました。すでに退院していた男性もまた、長年連れ添った母親も最期をみとることはできませんでした。
「意識がなくなる前に母親に電話をして、一言、おやじとおふくろと話をしたのでそれは良かったのかなと。(葬儀場では)ひつぎに入っていて、しっかり密封されていて、おやじに別れを言いたかったんですけど顔も見られなくて」
男性が住む宮崎県では、先月から今月にかけて感染が急拡大。県独自の緊急事態宣言が出されています。
「本当に守らないといけない命がどんどん削られていると思う。(県などが)『出ないでください』と優しく言ってますけど、私の気持ちからすれば『みんな鍵してでも出るな』と言いたい。みんな危機感を持ってもらって、大事な人を亡くして初めて気づいても遅い」