北海道には梅雨がない?
今シーズン沖縄から東北のすべての地方で、気象庁から梅雨入りが発表され、この先の天気予報でも、各地くもりや雨のマークが目立つことになりそうです。
梅雨の時期は雨や不快な暑さが続きますが、実は、北海道には、この「梅雨」がないと言われています。
「北海道には梅雨がない」と聞いたことはありませんか?実際、北海道は、気象庁から出される「梅雨に関する情報」の対象地域に含まれておらず、また、6月の北海道は晴れる日が多く、気温や湿度が低いため、天気のいい旅行先として訪れる人も少なくないようです。しかし、北海道にも「梅雨のような天気」はあるのです。
■なぜ北海道には梅雨がない?
そもそも梅雨とは、春から夏へと季節が移り変わる時期に、北の冷たい空気と、南の暖かい空気がせめぎ合い、梅雨前線ができることによって起こる季節現象です。この梅雨前線は、各地で雨を降らせながら日本列島を南から北へと移動し、北海道には、例年7月下旬ごろに近づきます。
しかし、その頃には前線の北と南の温度差が小さくなっているため、前線は不明瞭となって消えてしまいます。そのため、北海道には梅雨前線が届かず「梅雨がない」と言われているのです。
■北海道でも「梅雨のような天気」はある
しかし、梅雨はなくても「梅雨のような天気」はあります。北海道の太平洋側の地域で、夏の前に1~2週間程度、雨の日が増え、湿度も高く、まるで梅雨のような天気が続きます。この天候不順は、水温の低い近隣海域に、暖かい季節風が吹き込むことによって海霧が発生し、雨が降りやすい条件となるため起こるものです。
梅雨前線によってもたらされる現象ではないため「梅雨」ではありませんが、晴れが少なく湿度が高いジメジメとした日が続くため、地元ではこの期間のことを「えぞ梅雨」と呼んでいます。
■梅雨がなくても大雨への備えはしっかりと
2018年7月1から5日にかけて、北海道付近に前線が停滞し、記録的な大雨が降りました。この時期の北海道に、数日にわたって前線が停滞するのは珍しいことですが、この大雨によって、北海道では河川の氾濫や土砂災害、道路や農地の冠水、交通障害等が発生しました。
「梅雨がない」と言われる北海道ですが、大雨災害への備えは必要です。ハザードマップや避難場所、備蓄品など、これからの時期に向けてあらためて確認しておくといいでしょう。