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2021年6月29日 22:58

ラーメンの汁、食べたあとどうする?

ラーメンの汁、食べたあとどうする?
(c)NNN

食べ終えたラーメンの残り汁。いつもどう処理しているだろうか。シンクに流しても、下水処理がされるから大丈夫と思っている人も多いはずだ。しかし、水ジャーナリストの橋本淳司さんによれば、 ある条件がそろうときちんと処理されないケースがあるという。

■ラーメンの汁、そのまま捨てたらどうなる?

きれいな水や海を守るためには、日頃から何に注意して生活すればいいのだろうか。

例えば、ラーメンの汁。食べ終わった後、そのまま流しに捨てる人も多いだろう。しかしそれが、環境に負荷をかけてしまうかもしれない。

水専門のジャーナリストである武蔵野大学客員教授の橋本淳司さんは、ラーメンの汁がどれくらい環境に影響を与えるか実験を行った。用意したのは、しょうゆ味、海鮮味、カレー味のカップめんの汁。

汁そのままでは測定不可能な領域になってしまうため、これらを水で薄めて水質を測定した。用いたのは、水質検査を行う「パックテスト」という道具。薬が入っているチューブの中にスポイトで液体を採取すると、水質の汚染具合でチューブ内の液体の色が変化する仕組みだ。

「日本で最も汚れている川でも、値は13と20の間くらい。しかし、ラーメンの汁では10倍に薄めても、全ての味で100以上になりました。実際に魚が住めるようになるには、何とラーメンの汁を2000倍に薄める必要があるのです」(橋本さん/カギカッコ内、以下同)

味別で見ると、海鮮・カレー・しょうゆの順に、環境に与える影響が大きいのだという。

「カップラーメンには有機物が含まれています。この有機物が自然の中で分解されづらいために、魚が住みにくい環境が生まれてしまうのです」

■下水処理の落とし穴とは

ラーメンの汁が環境に良くないことは分かるが、きちんと下水処理されるので問題ないのではと思うかもしれない。確かに、私たちの家から出た生活排水は、下水処理場を通ってから海や川に出ていく。しかし橋本さんは、ある条件がそろうと下水処理場の機能が働かなくなってしまうと語る。

「下水処理を変えてしまうもの、それは豪雨です。下水道には雨と生活排水を一緒に流すタイプと、雨と生活排水を別々に流すタイプがあります。東京や大阪は前者。家庭から汚れた水を出し、下水処理場に向かう過程で豪雨が降ってくると、処理場に届く前にあふれてしまうことがあります。また下水場にたどり着いても、水量が多く下水処理が簡易的になることもあるんです」

豪雨の時期に、マンホールから水があふれかえっている光景を目にしたことはないだろうか。この状態を、内水氾濫(ないすいはんらん)というそうだ。家庭排水と豪雨の水があふれてしまっているのだという。

「下水管は普段私たちの目に見えないですが、小さいもので直径25センチくらい、大きいもので2階建ての戸建て住宅が入るくらいのサイズです。これらの管がそれぞれつながっており、排水が途中で側溝に流れ出したり、雨で一緒に流されたりしてしまうのです」

例えば、「東京湾の臭いがひどい」と耳にしたことはあるだろうか。これも豪雨と関係していて、下水処理が間に合わなかった事象とのことだ。

まずは、自分が流した排水がどういう経路をたどるのか、想像することが大切だ。例えば、お風呂でボディーソープをたくさん使ったとき、流れたボディーソープが環境にどんな影響を与える可能性があるのか。家庭排水が処理されず、そのまま流れてしまうかもしれないという問題を、一人ひとりが意識することが必要だと橋本さんは訴える。

■汚染水を直接流さない工夫をしよう

では、ラーメンの汁の処理。きれいな水を守るためには、どういった解決策があるのだろうか。

「直接流さない工夫が必要です。いろいろなやり方があると思いますが、おすすめなのは、残り汁を使った茶わん蒸し。卵をといて耐熱の容器に入れ、3分くらいレンジで温めるとおいしくできます。あるいは、キャンプ場での調理であれば、なるべく少ない汁で済むように工夫します。よく土に流す人がいますが、塩分を土に入れてしまうと植物に影響が出てしまうんです」

また、意外なことに水の環境に対する人々の意識は、昔に比べむしろ低下しつつあると橋本さんは指摘する。ミツカン「水の文化センター」の調査によると、「天ぷらなどの揚げ物に使用した油は流しから流さないようにしている」人の割合は年々減少しているという。

1995年から09年の平均値では89.2%の人が流さないように気をつけているのに対し、2017年は49.9%まで低下している。

「流した揚げ油は下水管の中で冷えてこびりついたり、固まったりするんです。これが下水管の破損の原因になります。水道が傷み、そこからまた汚れた水が発生する原因にもなるので、下水道を長く大事に使うためにも、油は流さないほうがいいですね」

このほか、炒めものに使ったフライパンも、そのまま洗うのではなく、まずは拭いてからがいいとのこと。もしかしたら自分が流した排水が、十分な処理もされずに、直接川や海に影響を与えるかもしれない。そう思い返し、日々の生活習慣を見直してみてはどうだろうか。

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この記事は、2021年5月29日に配信された「Update the world #5 きれいな水と海のためにわたしたちができること」をもとに制作しました。

■「Update the world」とは

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