“におい”で撃退 イノシシ被害の新対策 “液体”を畑に設置し…
畑の農作物を荒らすなど、各地でイノシシによる深刻な農業被害が出ています。こうした中、においでイノシシが近づくことを防ごうとする取り組みが始まっています。
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千葉県館山市の民家のそばで去年11月に撮影されたのは、道路脇にいる4頭のイノシシです。撮影者によりますと、落ち葉をあさり、虫やドングリを食べていたといいます。
2020年10月には、畑に現れたイノシシも撮影されていました。クラクションを鳴らすと、ものすごいスピードで山に戻っていきました。
16日にその周辺のレモン畑を訪れると、あちこちに土が掘り返されたあとがありました。
農家
「もともと平らだったんですけど、全部掘り返されてボコボコの状態に。草の中にミミズがいたりするので、ミミズを食べたりとか」
イノシシに荒らされたといいます。
そんな中、「news every.」のスタッフが感じていたのが“におい”です。
「何かにおいますね。黒い液体があります」
ペットボトルに入った液体がありました。嗅いでみると…
「強烈なにおいがしますね。なにか焦げたようなにおいがします」
その中身は…
液体を開発したOffice try 敦賀智行代表
「(木を)燃やす、いぶすっていう感じでできたような液体なんですね。(動物に)捕食されないために、これでガードする」
害獣を防ぐためのものです。
千葉県は長年、イノシシによる被害に悩まされ続けています。県内の農作物の被害額は、サルやシカと比べ、イノシシが圧倒的な高さで、例年、1億円を超える被害が続いているのです。
そこで考えられたのが、においで撃退するという新たな対策です。
液体を開発したOffice try 敦賀智行代表
「山火事のにおいが一番、野生動物がいやがるという話がありまして」
木を燃やして出た廃液を活用して、山火事のようなにおいを開発したといいます。
液体を開発したOffice try 敦賀智行代表
「(においが)どうかなぁと思いながらやったんですけど、『懐かしいにおいだね』とかおっしゃるおばあちゃまとか、いましたので」
8月から3か月間、千葉県内で実証実験を行っています。
そのにおい対策を設置したミカン畑では、すぐに効果が表れ、苗木が掘り返されなくなったといいます。
農家
「設置してからは、なぎ倒されることもなくなりました」
ただ、対策の少なかったレモン畑では被害が継続しています。
農家
「やはり、こうやって掘り返されてしまうと、数か月育ててきたものがパァになってしまうので、なるべく侵入されない設置方法や管理の仕方をしっかり学んで」
農家だけでなく、一般住宅でも使われていました。
湊真子さん
「猫、子猫。フンをやっていくんで、においがすごかったんですよ」
毎日のように野良猫のフン被害に遭い、困っていたという女性。8月にペットボトルを置いたところ…
湊真子さん
「効果は(猫が)来てないから効いてます。あんまりいいにおいじゃないけど、猫のフンよりかはこっちのほうがいいかな」
動物の嗅覚を利用した新たな対策。くさいにおいで被害の悩みを吹き飛ばせるのか、期待されます。