×

山陰で線状降水帯“予測困難”命守る行動は

2021年7月7日 18:56
山陰で線状降水帯“予測困難”命守る行動は

静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから7日で5日目となり、現場では捜索活動が続いています。一方、山陰地方では集中豪雨をもたらす「線状降水帯」によって、災害の警戒が高まっています。この線状降水帯について、詳しく説明します。

    ◇◇◇

熱海市の捜索現場の状況ですが、7日も朝から捜索活動が行われました。暑さが厳しくなる中、断続的に雨が降り、地面がぬかるんでいます。捜索が難航しているうえ、二次災害の危険と隣り合わせの状況が続いています。被害状況ですが、午前10時の時点で7人の死亡が確認されています。

安否がわからない人は27人ですが、警察などにもリストにない方の新しい情報が入っているもようです。依然として正確な数字はつかめていないということです。

■島根県・鳥取県で大雨…線状降水帯が発生

一方、島根県や鳥取県では7日朝、記録的な大雨となりました。

7日朝の雨の様子ですが、午前5時頃に島根県付近に集中豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生しました。さらに2時間後の午前7時頃、鳥取県にも線状降水帯がみられました。このため、付近では記録的な大雨となったのです。

島根県出雲市では、川の水があふれて道路が茶色く濁った水で覆われていました。松江市では、午前5時40分までの1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降り、意宇川が氾濫しました。松江市と鳥取市の一部地域に、警戒レベル5の「緊急安全確保」が出されています。

また、警戒レベル4の避難指示も島根県、鳥取県の一部地域に出ています。そして、気象庁は7日午前、緊急の呼びかけを行いました。「日本海側を中心に、10日頃にかけて線状降水帯の発生も含めて、災害級の大雨になる恐れがある」ということです。4日間は、日本海側の広い範囲で厳重な警戒が必要だといいます。

線状降水帯の発生を事前に把握できるかですが、残念ですが今の予報の技術では、いつ・どこで発生するか事前に予測することは難しいです。

■線状降水帯とは…予測難しく被害は大きい

そもそも「線状降水帯」とは何か、説明します。

線状降水帯は、風や地形などが要因となって新たな積乱雲が次々と発生し、同じような場所で長い時間、大量の雨を降らせるというものです。いくつもの積乱雲が線状に分布するので、「線状降水帯」と言います。ほんの些細な風のぶつかり合いで、突然、発生してしまうこともあり、発生を事前にキャッチするのが極めて難しいということです。

そして、予測が難しいのに被害が大きくなるのが特徴です。去年7月に熊本県球磨川を氾濫させるなど、たびたび大きな豪雨災害を引き起こしています。このため気象庁は先月17日から、予測は難しいけれど、いち早く避難行動をとってもらうように「線状降水帯発生情報」を発表することにしました。

この情報は「大雨の予測・予想」ではなく、「実際に今、降っている情報だ」ということがポイントです。「発生情報」となっているのはそのためです。すでに災害が起きてしまうほどの非常に激しい雨が「今、降っている」ことを示します。

警戒レベルでいうと、情報が出された段階で基本的にはレベル4以上の「避難指示」もしくは「緊急安全確保」で、すでに避難が呼びかけられている状態です。しかし気象庁の担当記者に話を聞くと、予測が困難なため、自治体も不意を突かれる形で、慌てて避難指示を出すケースが多いそうです。

■住む地域を知る“大事”ハザードマップも活用

そのため、大事なことが2つあります。第1に「避難指示が出たら、ためらわずに逃げること」です。第2に「避難指示が出ていなくても、線状降水帯が発生しているケース」もあります。危ないと思ったら、自己判断で避難することが大事です。

周囲の安全を確認して、まだ避難できるようでしたら避難先に行きます。家の外に出るのが困難な場合は、高い場所や崖から離れた部屋に行くなどして、命を守る行動をとることが必要です。

時間帯も日中とは限らないです。夜間に慌てて避難するのは危険なので、日頃からの備えが大事です。「大雨のときは、こうした予測しづらい線状降水帯で、思いもよらない大きな被害が出る可能性がある」ということを、知識として把握しておくのが大事です。

一番大事なのは、事前の準備です。改めて、自分の住んでいる地域がどんな場所か、ハザードマップで知っておくことが非常に大事です。

国土交通省は『重ねるハザードマップ』を提供しています。「重ねるハザードマップ」でインターネット検索をすると見つかります。サイトを開くと、左上に「災害種別」が表示され、洪水、土砂災害、高潮などと分かれていて、災害種別で選択できるようになっています。

たとえば東京・大田区あたりを表示し、「土砂災害」を押すと、黄色や赤で注意すべき箇所が表示されます。また、「洪水」を押すと、危険な場所がピンクで重ねて示されます。これが、『重ねるハザードマップ』の特徴です。また、地図上で北の方に移動すると、墨田区、江東区あたりがピンク色に覆われているのが見てわかります。この『重ねるハザードマップ』はパソコンやスマートフォンで見ることができます。

    ◇◇◇

防災は情報を入手することが大事です。一方で、そうした情報が届きにくい人がいることも、忘れてはいけません。普段から身近な人と会話して、どの程度の知識があり、避難行動ができるか、共有しあっておくことが大事になります。

(2021年7月7日午後4時頃放送 news every.「ナゼナニっ?」より)