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各党の主張は?「選択的夫婦別姓」について考える【#きっかけ解説】

2024年10月21日 12:36
各党の主張は?「選択的夫婦別姓」について考える【#きっかけ解説】
衆議院選挙の投開票日まであと6日です。投票のきっかけに─21日は「選択的夫婦別姓」についてです。社会部・馬野恵里花記者の解説です。【#きっかけ解説

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──日本では、結婚するとどちらかの姓に合わせる必要がありますよね。

現在、日本では民法で、夫婦は夫又は妻の氏を称するとされています。つまり、「夫婦同姓」が義務づけられているということです。

──でも、企業などによっては、旧姓を使用し続けてもいいというケースも増えていますよね。

日本では結婚して姓を変えるのは、9割以上が女性なのですが、女性の社会進出が進み、企業が認める場合は仕事と私生活で別の姓を名乗る人が増えています。

ただ、こうした旧姓との使い分けではなく、法律で夫婦別姓を選択できるようにしてほしいという声が上がっていて、「仕事と日常生活で姓が違うと不都合や不便を感じる」「姓を変えることはアイデンティティーの喪失」という意見があります。

一方、選択的夫婦別姓に反対の声としては「子どもの名字をどうするかで夫婦間の混乱をまねく」「姓が異なると家族の一体感が損なわれる」というものがあり、議論がなかなか進んでいないのが現状です。

──実際に別姓を選べないことで困っている人がいるんですよね。

そうなんです。夫婦それぞれ自分の姓を維持したいと考え、婚姻届を出さずに事実婚を選んだ方に話を聞きました。

上田めぐみさんは海外での仕事も多いため、パスポートなどで姓を使い分けることなく、ストレスがないといいます。

一方、事実婚では住宅購入の際にペアローンを組みにくいことや、子供の親権のことで制度面が追いついておらず、不安を感じることも多いそうです。

姓の選択は人権に関わる問題だとして「困っている人に寄り添ってほしい」と話していました。

各党の選択的夫婦別姓の主張については、多くの政党が賛成のスタンスをとる一方、反対、慎重な党もあります。

立憲民主党、公明党、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党は賛成の立場です。

一方、自民党は「旧姓使用の拡大」を掲げ慎重な立場であるほか、日本維新の会は「旧姓使用に法的効力を与える制度」を掲げています。

また、参政党は反対だとしています。

──現在の議論の状況はどうなっているのでしょうか?

先日、国連の女性差別撤廃委員会で、日本で夫婦別姓も選べるようにすべきという意見が出されました。しかし日本政府は「国民の意見がわかれている」「旧姓を通称として使える」などと、従来の回答を繰り返すにとどまりました。

選択的夫婦別姓については、進めるべきとの意見がある一方、家族のあり方、伝統的な価値観を守るべきと保守層を中心に慎重な意見も根強く、今回の選挙を通じて議論が活発化するかが注目されます。