給付?減税?各党の物価高対策は…衆院選・投開票日まであと10日【#きっかけ解説】
──物価高というとまずは食料品。さらに電気代やガス代など毎月の負担が増えている印象ですよね。
家計への直撃は続いています。10月に値上げされた食品は2911品目となり今年最多。そして、今年の値上げ品目は、合わせて1万2401品目にのぼる見通しだといいます。
──値上げしていないものを見つける方が難しい。
この物価高の大きな要因の一つが、円安です。日本は食料品やエネルギーなど多くを輸入に頼っているので、円の価値が下がると輸入するモノの価格は上がり、当然、それを売るときの価格に影響します。
円安自体はモノを輸出している大企業などには追い風となりますが、消費者にとっては負担が大きくなるのです。
──そうなると賃上げが急がれますね
はい、全体的に賃金は上昇しているものの、実際には、物価の上昇率に賃金アップが追いついていない状況です。
このため、家計の支出の中で食費がどれだけの割合を占めるかを示す「エンゲル係数」は、過去にないほど上昇しているんです。ある民間シンクタンクの調査によりますと、今年8月までの1年間では29.9%と、2000年以降最高水準となっていて、消費者にとっては苦しい状況となっています。
──では、この物価高に対して各党は、どのような政策を掲げているのでしょうか?
「給付」と「減税」で分かれています。
自民党は、物価高の影響が大きい「低所得者世帯への給付金」を掲げ、公明党も「低所得者や年金生活者への給付金」を打ち出しています。
これに対し立憲民主党は、消費税の「給付付き税額控除」。具体的には中低所得者を対象に、現金給付と税額控除を組み合わせるとしています。
一方で、減税を掲げている党を見ると、日本維新の会は「消費税率を8%へ引き下げ」、共産党は「廃止を目指し当面5%に引き下げ」、国民民主党は実質賃金がプラスになるまで「時限的に5%に引き下げる」としています。
また、れいわ新選組は「消費税廃止」、社民党は「3年間消費税ゼロ」、参政党は「消費減税と社会保障の最適化」を掲げています。
──給付と減税、いずれも消費者にとってはありがたいですが、これで問題は解消するのでしょうか?
経済の好循環のためには、物価上昇を上回る賃金上昇を定着させることが重要です。また各党とも、財源をどうするかについて具体的な方針は掲げられていません。
各党の対策が、一時しのぎにならないよう、選挙戦での説明を注意深くチェックする必要があります。