重症化防ぐ「カクテル療法」 現場の課題は
新型コロナウイルスの軽症・中等症の患者向けの新治療薬「抗体カクテル療法」。7月に承認され、重症化や死亡のリスクを下げる効果が期待されています。一方、適用が始まった医療現場によると、投与の「タイムリミット」など課題も指摘されています。
■「重症化」「死亡」のリスク減
都内にある、新型コロナウイルス専用の東海大学医学部付属東京病院では4日、医師らが「中等症の人が家で苦しんでいる」「救急車の依頼があった時は極力取るようにフォローしよう」と意見を交わしました。コロナ患者の1日の受け入れ人数を倍に増やす態勢などを話し合っていました。
この病院では新たな治療も始まりました。
40代の中等症患者に対し、医師が「軽症から中等症の間の患者さまで、発症から7日以内となると、今回の『カクテル療法』の一番の適用になるんですね」と伝えました。
7月に承認されたばかりの軽症・中等症向けの「抗体カクテル療法」です。2つの薬を混ぜ、点滴で同時に投与します。投与するとウイルスに2種類の抗体が結合し、細胞への侵入を阻止します。ウイルスの増殖を防ぐため、臨床試験の結果、重症化や死亡のリスクを7割減らす効果があるとされています。
約1時間かけて投与し、効果は1週間~10日後に期待できるといいます。40代の中等症患者は「お変わりありませんか」の問いかけに「全くないです」と答えました。
■「7日以内」がタイムリミット
ただ、課題もあります。
この病院で新型コロナ対策調整室長を務める海老原明典医師は「投与までのタイムリミットがありますので、タイムリーな状態で入院された方、なおかつ条件が整った方に投与ができる」と指摘します。
投与は入院患者に限られ、発症から7日以内の投与が効果的というタイムリミットがあります。
海老原医師
「7日となると、もう発症からこちら(病院)に来られるのに3日目・4日目じゃないと間に合わない。やはり在宅での先生方の手に、この薬が使えるような形を早くつくっていく(ことが大事)」
(8月6日『news zero』より)