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“重症化リスク”AB型が高い~最新研究で

2021年5月17日 21:03
“重症化リスク”AB型が高い~最新研究で

17日、新型コロナウイルスについての新たな研究結果が発表されました。それは、新型コロナウイルスの重症化リスクが血液型によって違うというものです。分かりやすく解説します。

■重症化リスク AB型はO型の「1.6倍」

今回の発表をしたのは、慶応義塾大学や東京医科歯科大学など複数の研究機関による重症化のメカニズムを調べる共同研究チーム「コロナ制圧タスクフォース」で、感染症学や遺伝、データ解析の専門家など、さまざまな分野のエキスパートが集結したチームです。

研究は、国内のコロナ感染者の遺伝子配列を調べることで、重症化しやすい人に共通する特徴は何かを解き明かそうというもので、その結果、日本人では重症化リスクが一番高い血液型は、AB型であることが分かりました。そして一番低いのはO型。O型に比べるとAB型はおよそ『1.6倍』、A型とB型は『1.2倍』重症化リスクが高いことが明らかになりました。

これはあくまで日本での結果です。そもそも欧米ではAB型の人が少なく、データが十分にとれないということで、日本にはある程度AB型がいることから、こうした結果が得られました。

厚生労働省によりますと、日本人の血液型の大まかな割合はA型が4割、O型3割、B型2割、AB型1割となっています。なお、「感染するリスク」については今回の調査では血液型による差は「見られなかった」ということです。血液型によって感染しやすい/しにくいということはありませんので、血液型にかかわらず、マスクなどの感染対策は、引き続き必要です。

■日本人2割が重症化しやすい可能性

血液型ごとの重症化リスクの差は、この慶応義塾大学などの共同研究チームが「ファクターX」の研究をしていた中で分かったことでした。

「ファクターX」という言葉に聞き覚えのある方もいると思います。感染が拡大し始めた頃、海外に比べて日本人の重症者や死者が少なく、要因は何なのか、ミステリーとも言われました。その要因が「ファクターX」と呼ばれ、さまざまな研究が行われてきました。その中でこのチームは、日本人の『遺伝子』にその要因があるのではないかと研究を進めてきました。

まずは、新型コロナウイルスに感染したおよそ2400人の検体から、遺伝子配列のデータを集めて調査。その中で重症化しやすい65歳以上を除き、65歳未満で重症化した440人の遺伝子配列を調べたところ、ある同じ遺伝子の「配列タイプ」を持っている人が多かったことが分かりました。そして、その「配列タイプ」を持っている人は、持っていない人に比べ、およそ2倍、重症化しやすいことが分かったといいます。

次に、研究チームがもともと持っていた健康な2377人の遺伝子配列のデータを調べたところ、この重症化しやすいとみられる遺伝子配列を「およそ2割」の人が持っていたということです。つまり、日本人の2割が、コロナに感染すると重症化しやすい可能性があるということになります。

■“重症化しやすい”遺伝子配列とは

ヒトの設計図である遺伝子は、細かく見ていくと4種類の化学物質が並んでいます。その並びが重要で、重症化しやすい人は、ある一部が変わっている人がより多かったといいます。

その並びが変わっている場所も重要で、「DOCK2」という免疫機能を担う遺伝子の近くだったことから、この並びの違いが重症化する要因だと推察できるということです。

こうした重症化に関連すると考えられる配列のタイプについては、これまで欧米でも研究が行われ、「15個」ほどのタイプが判明していますが、今回のタイプが判明したのは「世界初」。というのも、欧米人ではこのタイプを持つ人が殆どいないため、これまでの欧米の研究では発見できなかったということです。

■日本人特有の「ファクターX」はあるのか

結局、重症化しにくい日本人特有の「ファクターX」はあるのか。研究チームは、現段階では、遺伝子関連では「ないと考えている」としています。

そもそも現在の感染状況をみると、日本人が欧米人より重症化しにくいという状態にはありません。研究チームは、そもそも重症化するかしないかを分ける要因としては、「高齢や基礎疾患など様々な要因があるため、遺伝的な背景だけで決まるわけではない」と説明した上で、今回のような遺伝子配列の違いも要因の一つになるとしています。

■“コロナ治療薬の開発につなげたい”

では、今回の結果はどう役立つのか。チームの責任者はこう答えています。

慶応義塾大学医学部・金井隆典教授「大事なのは、もしかしたら薬につながるんじゃないかということです。いわゆる標的、犯人が見つかったら、それを抑えたり、強めたりという薬を作るためには、いい標的の可能性があるんじゃないかなと僕らは期待しています」

研究チームは、今後、新型コロナの治療薬の開発などにつなげていきたいとしています。

今回の研究は、従来型のウイルスの感染者の検体を調べたものだということです。この数か月の間に見つかった変異ウイルスについては調べていないということで、今後の課題だとしています。

(2021年5月17日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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