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コロナ禍の「お盆」危機的状況の医療現場

2021年8月10日 21:34
コロナ禍の「お盆」危機的状況の医療現場

全国の多くの地域で、これまで経験したことのない桁違いの感染が継続しています。ひっ迫する医療の現場。10日、都内の病院では、受け入れ先が見つからず、病院の駐車場に止めた救急車の中で処置を受けるコロナの重症患者の姿がありました。

   ◇

自粛が求められているお盆の帰省や旅行。10日、羽田空港のPCR検査センターには多くの人が集まり、外には長い列もできていました。8月に入ってからはすぐに予約が埋まる状況が続いているといいます。

利用者に話を聞きました。

実家に帰省する人
「コロナウイルス持ち帰るの怖かったので、一応(検査)受けて安全というのを確認してから家に帰りたいなと思って」

また、ワクチン接種のために実家へ帰省するという男性もいました。

実家に帰省する人
「先に自分の(実家の)自治体のほうで受けられるってなったので、それで帰ろうかなと思って帰る決断をしました」

街の人はどう考えているのでしょうか。

男性
「1週間休みありますけど、(帰省せず)ほぼ家にいると思います」

男の子
「おじいちゃんとおばあちゃんに会いにいきたかったです」

母親
「やっぱり(実家に)帰りたい気持ちは強いですね、ただそれをするわけにはいかないと思っているので」

母親と中学2年生の息子は、2年近く帰省できていません。

母親
「(息子は)背も伸びましたし、ずいぶん成長したと思いますけど、そういう様子は見せられていない」

苦渋の決断をする学生たちもいます。

秋田県出身の学生が暮らす学生寮。例年であれば、半分以上の学生が帰省しますが、今年は77人中48人が残ることを決めたといいます。

大学2年生
「(都内で)感染者が5000人超えたりして、ちょっと家族とも話しあって(帰省は)難しいかなっていう感じに」

大学3年生
「親も会いたいんですけど、体の健康が第一なので」

帰れない間、勉強やバイトをして過ごしたいという大学2年生は…

大学2年生
「家族ともしばらく会えていないので寂しいです」

都内在住 会社員(60代)
「普段のお盆は(実家に)帰るんですけど、ちょっと去年も帰ってない。今年も無理だろうなっていうところです」

都内に暮らす60代の会社員の男性はお盆の帰省を断念し、あるサービスを利用することにしました。

わたしの看護婦さん 神戸貴子代表
「息子さん見えますか」

「ああ見えます」

介護事業を行う会社「わたしの看護婦さん」が、実家のある鳥取県の介護施設にいる86歳の母親とビデオ通話でつないでくれるのです。

「ゆっくり休んでくださいねっておっしゃってます」

男性の母親
「はい」

久しぶりに母親と話すことができたことに男性は…

都内在住 会社員(60代)
「お互い顔をみながら、ちょっとでもしゃべれたというのはありがたいと思っています」

ただ、帰省客が少ないことで、こんな影響も出ています。

香炉庵 斎藤知也代表
「私どもは駅に店舗がございますので、8月に入ってもう本当に落ち込みが激しいかなって思います」

この和菓子店では、東京駅などでも土産物を販売していますが、コロナ前と比べて、みやげ用の商品の売り上げが7割近く減っているというのです。

そのため、今年からはじめたHPでの通信販売に力を入れて、この苦境を乗り切りたいとしています。

香炉庵 斎藤知也代表
「すぐに食べられる自宅需要の生菓子とか、サイトに載せたりして」

   ◇

収まらない感染の拡大。こうした中、いま危機的な状況に陥っているのが医療の現場です。

「日本医大救命です」

日本医科大学付属病院。10日午前にかかってきたのは、コロナ患者の救急搬送の受け入れ要請の電話。ところが…

医師
「ちょっと今満床で受け入れられないです。申し訳ないです」

その後も…

「申し訳ないです。受けられないです」

短時間で要請が幾度となく入りますが、受け入れることができません。ただ、自宅療養していた40代男性の状態が悪いと聞くと…

「東京都内全部だめで」

高度救命救急センター 横堀將司センター長
「ちょっと待ってね。えっと、連れてきてもらうか。危ないので取りあえずうちの駐車場まで来てください。できる?そこで1回医者が診るよ」

病床は満床ですが、救急車に乗せたまま、駐車場で処置に当たることにしたのです。

ギリギリの状態での対応。

高度救命救急センター 横堀將司センター長
「やった処置とすると、気管挿管といって、呼吸の状態が悪い状況だったので、お口から管をいれて安全な搬送ができるように1回ここで整えて、転院先を待つと。おとといぐらいから急激に救急の患者さんを受け入れられなくなっている。厳しい状況です」

医療のひっ迫は別の場所でも…

医師
「酸素吸わないと酸素」

医師
「唇もう紫になっている」

訪問診療を行う都内のクリニックの医師は、先週から保健所などの依頼を受けて、症状の悪化がみられる自宅療養者への診療を行っています。しかし…

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長
「もう急増しております」

8月9日の1日でみた患者は21人と、診療の依頼が急増しているというのです。そして、このままこの状況が続く場合…

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長
「医療者が自宅に過不足なくいけるかというと、我々ひとりのマンパワーにも限界があります。人目につかないところで苦しまれてしまう方、生命の危機にひんする方が増えていく。これは間違いないことではないかと思っています」

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