河川氾濫に土砂崩れ…“最大級の警戒”必要
広島県では13日朝、大雨特別警報が発表され、県内を流れる江の川が氾濫しました。長崎県内では土砂崩れで1人が死亡するなど、各地で被害が明らかになっています。気象庁はほかの地域でも重大な災害が起きるおそれが高まっているとして、警戒を呼びかけています。
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13日午後5時45分現在も広島市安佐北区や安芸高田市、北広島町の一部で警戒レベル5「緊急安全確保」が出されている広島県。県内では道路が冠水するなど、各地で被害が相次ぎました。
広島県から島根県に流れる一級河川・江の川が氾濫。普段は道路が見えている場所を、川からあふれ出した水が覆い尽くしました。
消防(広島・安芸高田市 正午ごろ)
「今から消防隊が向かいますので、そちらで待機しておいてください」
住民
「はい」
安芸高田市では車の大半が濁流につかるほど一帯が浸水。住民は消防に救助され無事でした。
広島市を流れる鈴張川では濁った水が道路にあふれ、勢いよく流れ込んでいます。さらに、間違って進入してしまったのか、トラックが水の勢いで前に進めず、後ろに下がる様子もみられました。
撮影者
「恐怖を覚えました。15分くらいで状況が急変したと思います」
撮影者によりますと、トラックの動きが止まった後、運転手は脱出したということです。
鈴張川の別の場所では…
記者(広島市安佐北区 午前9時ごろ)
「大雨の影響で川の勢いが激しくなっていまして、道路が削れているのが見えます」
道路の地盤を削りとる濁流。午前9時半過ぎには、通りかかった車が川に転落。消防が行方を捜しています。
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九州から東北に及ぶ広い範囲に拡大している“災害級”の大雨。
連日の大雨で九州にも大きな影響が出ています。福岡県・久留米市では道路が冠水。
記者
「この辺りはもう水がたまって、池のようになっています。奥にはガードレールもありますので、おそらく道があったと思いますけれども、その道がどこにあったか完全に分からない状態です」
また別の場所では、車が通るたびに大きな水しぶきが上がっています。
実は久留米市では午前4時50分までの24時間雨量が230ミリを観測。8月1か月分に相当する記録的な雨をもたらしたのです。
道路を激しく打ち付ける大雨に見舞われた熊本県八代市。八代市では午前7時までの1時間の降水量がおよそ120ミリと記録的短時間大雨情報が出されました。
記者(熊本・玉名市 午前6時前)
「朝6時前の玉名市です。こちらを流れている境川の水があふれて道路が冠水しています」
道路と川の境目が分からない状態になっていました。そのため、バイクを走行していた人は、この状況を見て戸惑っていました。
消防隊員も川の様子などを確認していました。
消防隊員
「普段は全然穏やかなんですけど。短時間で降ると、がっと(水位が)上がりますね」
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また、連日の大雨により断水被害も出ています。
天草市下田地区では市道がおよそ20メートル崩落し、埋設していた水道管が破損。(午前10時現在)300世帯以上が断水しているということです。
市は給水車を派遣し対応。大雨の中、水をくむ人の姿が見られました。
断水の被害に近くの旅館では、営業再開の準備が整うまで、予約をキャンセルせざるをえなかったといいます。
旅館
「1年の中でもお客さまがいらっしゃっていただける期間に断水っていうことで、いつものようにおもてなしができない状態がきょう明日と続いたので」
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48時間の積算雨量が300ミリ以上の場所は、九州に集中しています。中でも長崎県の雲仙岳では観測史上最大の796ミリを記録しました。
その雲仙岳が近くにある雲仙市では土砂崩れが発生。警察と消防によりますと、民家2棟が土砂崩れの被害に巻き込まれたということです。
このうち男性1人、女性2人がいたとみられる家から50代の女性が心肺停止の状態で発見され、死亡が確認されました。残る2人の安否は分かっていません。
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今回の大雨で、九州では午後5時45分現在も宮崎県を除く6県で避難指示が出ています。
九州以外にも広島などで避難指示が出ています。(新潟・富山・岐阜・静岡・島根・広島・愛媛 午後5時45分現在)
今後の大雨について気象庁は…
気象庁
「今後一週間にかけて本州付近に前線が停滞し、西日本から東日本にかけて所によっては大雨特別警報を発表する可能性が出てきておりますので、普段災害が起きないと思われているような場所でも最大級の警戒が必要です」
この後も、九州から東北の広い範囲で雨が続き、断続的に強まる所がありそうです。
気象庁は、命を守るため、避難をためらわないよう呼びかけています。