東京パラ関係者と面会 陛下のお言葉全文
東京パラリンピックの開会式を前に、大会名誉総裁の天皇陛下は、IPC(=国際パラリンピック委員会)の関係者10人を皇居・宮殿に招き、面会されました。
以下、英語で挨拶された陛下のお言葉(和訳)全文を紹介します。
【天皇陛下】(2021年8月24日皇居・宮殿「春秋の間」)
パーソンズ会長国際パラリンピック委員会関係者の皆様、東京2020パラリンピック競技大会は、本日開会式を迎えます。
現在、世界各国は、一昨年末より世界中を襲った新型コロナウイルス感染症の感染拡大という大変厳しい試練に直面しています。人が集い、繋がることが簡単ではない状況が続いています。
そのような困難な状況の中、今回の大会に出場するために努力を続けてこられたアスリートの皆さん、そのアスリートの方々を支えてきた御家族や、コーチ、技術者及び全ての関係者の方々の努力に深い敬意を表します。
同時に、新型コロナウイルス感染症に対する万全の対策を講じながらの大会運営は、決して容易なことではないと思います。特に、パラリンピックについては、呼吸機能が弱いアスリートや基礎疾患を抱えるアスリートの方々の重症化のリスクが高くなる可能性など、オリンピックとは異なる難しさがあろうかと思います。
出身国・地域とは異なるであろう暑い気候にも十分な注意が必要です。それぞれの会場で大会運営に携わる関係者の方々の御尽力に深く敬意を表します。
1964年の東京でのパラリンピック大会については、障害者スポーツの発展に高い関心を持ち、この大会を温かく見守られた上皇上皇后両陛下からいろいろと話を伺っており、また、1998年に長野で行われた冬季パラリンピック大会では、私自身、雅子と共にいくつかの競技を目の当たりにしましたが、選手の皆さんが、自らの可能性を真剣に追求する姿に深い感銘を受けたことを、なつかしく思い出します。
世界中から集まった障害のあるアスリートの皆さんが、様々な創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピックは、わたしたちが、わたしたち一人一人の個性のかけがえのなさや尊さに、改めて思いをいたす機会となると思います。
この大会を機に、わたしたちが、障害がある人もない人も、お互いを尊重し思いやることを、これまで以上に大切にしながら共に生きていく社会づくりが進んでいくことを願います。
関係者の緊密な連携による感染防止対策に万全が期されることにより、アスリートの皆さんが健康な状態で安心して競技に打ち込み、最善をつくすことができることを希望します。皆様と共に全てのアスリートのご健闘を祈ります。