“渡りきれない”踏切で男性はねられ死亡 スマホ操作しながら踏切内に…専門家も警鐘
29日、横浜市の全長40メートルほどある長い踏切で20代の男性が電車にはねられました。男性は死亡しましたが、はねられた時、踏切内でスマートフォンを操作していたということです。
◇
神奈川県横浜市にある生見尾踏切。
記者
「みなさん走っていますね。警報機が鳴ってみなさん走っています」
「長いためまだ渡りきれていませんね」
全長約40メートルで8つの線路が通っています。踏切内には、渡りきれなかった時のために電車が通過するのを待つスペースが設けられていて…
「途中で止まっている方、けっこういますね」
「警報機鳴っていますが、多くの方が待避場所で電車が行くのを待っています」
踏切の利用者からは…
踏切の利用者(81)
「長いですね。長くて必ずいっぺんに渡れることはめったにない」
踏切の利用者(29)
「けっこう長くて、何個も途切れ途切れである。どっちの踏切の音が鳴っているのか分かりにくい時もあったり」
不安の声も聞かれるこの場所で29日、死亡事故が起きました。
110番通報(29日午後11時すぎ)
「列車と踏切内に立っていた人が接触した」
名畑咲希記者
「待避スペースの手前の場所で列車にはねられたということです」
亡くなったのは、ベトナム国籍のブオン バン ロンさん(26)。警察によると、ブオンさんは遮断機の開いた踏切を渡っていましたが、待避スペースの手前で立ち止まっていたといいます。
電車の運転士が約100メートル手前で気づきブレーキをかけましたが、線路上で電車にはねられ死亡しました。待避スペースの場所を勘違いしたとみられています。
ブオンさんは踏切を渡る際、スマートフォンを操作する様子が防犯カメラに映っていたということです。
涙を流しながら現場を見つめる人たち。ブオンさんの友人だといいます。
ブオンさんの友人
「前ずっと一緒に住んでいた友達。学校も一緒でずっと5年ぐらい。ちょっと信じられない気持ちです」
実は、この踏切では過去にも死亡事故が起きていました。2013年と今年4月、男性がそれぞれ電車にはねられ亡くなっています。
2022年の取材中には…。遮断機が降りたあと、一斉に後ろを振り返る人たち。その先には、踏切の中で止まっている車いすの男性と介助している男性がいました。
「そこ(止まっては)ダメなんですよ! 危ないです! そこダメなんですよ!」
近くにいた人が遮断機を持ち上げ、2人が踏切内から出ようとした次の瞬間、男性が車いすから落ちてしまいました。
「危ない! 早く助けてやって! 助けてやって!」
記者
「大丈夫ですか」
この時、電車は踏切の手前で緊急停止していて、男性たちは間一髪で助け出されました。
──あの場所(待避スペース)って分かりにくい?
踏切の利用者(16)
「どこまでがこの踏切なのか境目があまり分からなくて、待っていていいのか悪いのかよく分からない」
一方、こんな声も聞かれました。
踏切の利用者(19)
「イヤホンして携帯に集中していると(電車が)来ているのに気づかなくて『あっ!』ってなったことは何回かある」
スマホの操作中に起きた今回の事故。専門家は…
“ながらスマホ”を研究 愛知工科大学 小塚一宏名誉教授
「普通に歩くと、人間の視線は無意識に左右にも幅広く視線が動きます。それに対してスマホを見ながら歩きスマホをすると、左右への視線が全くピタッとなくなります。視線がスマホの画面に集中してしまいますから、それ以外の周辺の道路環境が全く認識できない」
周りに意識がいかなくなってしまうため、歩きスマホはやめてほしいといいます。
“ながらスマホ”を研究 愛知工科大学 小塚一宏名誉教授
「本当に見ないといけない危険性を全く気がつかずに事故に遭ってしまうとか、そういったことにつながっていきますから、気をつけてほしいと思います」
(9月30日放送『news zero』より)