震度5強 夜の地震に備えておくべき物は?
7日夜、東京や埼玉で震度5強を観測する地震があり、交通機関への影響などは、8日朝も続きました。夜間に地震が起きたとき、まずはどういう行動をとったらいいのか、どんな備えをしておくべきなのか、詳しくお伝えします。
■昨夜の地震…首都直下地震と関係は?
地震が起きたのは、7日午後10時41分。東京都心でも、ぐらぐらという揺れが40秒ほど続きました。
また水道管が破裂して、マンホールから道路に水があふれるなど、都内では23か所で漏水を確認。建物の壁が崩れ落ちたところもありました。
各地で被害が出ています。震度5強を観測した東京・足立区では、日暮里・舎人ライナーの列車が緊急停止した影響で、先頭列車が脱線し、35歳の女性が頭を切るなど3人がけがをしました。
埼玉県富士見市では、60歳の女性が階段で転倒して骨折し、重傷だということです。この地震によるけが人は、東京・千葉・神奈川・埼玉・群馬の5都県であわせて43人です。
さて、首都圏での大きな地震でしたが、首都直下地震を連想してしまいましたけど、関係はあるのでしょうか。
首都直下地震とは、そもそもの地震のメカニズムが違います。日本の地下では、フィリピン海プレートと太平洋プレートがぶつかり合っていて、今回の地震は、このプレート境界付近で起きました。震源の深さ75キロと深く、地震の規模を表すマグニチュードは5.9でした。
一方、想定されている首都直下地震は、今回よりずっと浅い、深さ10キロ程度の地表に近い場所が震源で、マグニチュードも7クラスと規模が全く異なります。マグニチュードは1増えると、放出されるエネルギーは32倍大きくなるので、首都直下地震は今回とは比較にならない規模です。
そして今回の地震、もう1つの特徴は、「長周期地震動」が起きていたことです。長周期地震動とは、揺れの周期、つまり揺れが1往復するのにかかる時間が長いことが特徴で、震源から遠く離れた高層ビルをゆっくりと大きく揺らす現象が起きます。
10年前の東日本大震災でも、震源から遠く離れた新宿の高層ビルが大きく揺れました。長周期地震動で、ビルが大きく揺れると、テレビや冷蔵庫などが部屋の端から端まで移動する危険もあり、しっかり固定するなどの備えが必要です。
今回も、震源からやや離れた東京や埼玉の地盤が比較的軟弱な場所で大きな揺れが観測されました。
■エレベーターの中や職場などで揺れを感じたら…
7日夜の地震発生時、皆さんどんな行動をとったのか、街の人に聞きました。
都民「慌ててどうしよう、どうしようって右往左往していました」
都民「地震があったとき、すぐに妻と一緒に子供たちと2段ベッドの下の方に移動して、みんなで小さくなってた感じですね」
都内在住・マンション13階に住む人「エレベーター止まっちゃって、今朝、子供送りにいくときに、階段で頑張って送りにいったので汗だくになった。まだ止まっているみたいなので、これからまた“山登り”しないと」
首都圏では、エレベーターが止まる被害が相次ぎました。国土交通省によりますと、7日夜の地震でエレベーターの閉じ込めは都内で19件、神奈川で4件、千葉で3件、埼玉で2件発生し、すべて救出済みです。
エレベーターの中で揺れを感じたらどうしたらいいのでしょうか。行き先階のボタンを「全部」押して、最初に止まった階で降りるということです。閉じ込められてしまったら、インターホンで連絡して落ち着いて救助を待つことが大切です。
また、今回影響が大きかったのは、交通の混乱です。日付が変わる頃のJR品川駅では、電車が止まって帰れなくなった人たちが地べたに座り込んでいる様子も見られました。JR新橋駅でもタクシー待ちの長蛇の列ができ、多くの人が足止めされたんです。
7日夜は、東京駅や品川駅などで帰宅困難者が発生しましたが、国交大臣によると、午前3時までには、おおむね解消したそうです。電車が運転再開したり、タクシー業界が優先的に配車したからだということです。
職場などで、大きな揺れを感じたらどうしたらいいのでしょうか。地震直後は、原則、むやみに移動しないことが大切です。みんなが徒歩で一斉に帰宅を始めると混乱が起きて、救助活動の妨げになってしまう可能性もあります。ひとまず会社や学校など安全な場所にとどまるようにしましょう。
買い物や移動中で外にいる場合は、帰宅困難となった人のための「一時滞在施設」にとどまることもできます。
7日夜も品川駅、北千住駅、日暮里駅や横浜駅などに設置された「一時滞在施設」をおよそ120人が利用したそうです。
気象庁は今後1週間程度は、同じような規模の地震が起きる恐れがあるとして、家具の転倒や、ブロック塀の倒壊にも注意するよう呼びかけています。
■夜の地震の備えは?
日本防災士機構の橋本茂さんによりますと、「夜の地震の備えとして、ベッドのそばに懐中電灯、スリッパ、笛は置いてほしい」ということで、バラバラにならないようまとめて袋に入れておくとよいでしょう。
物が散乱したところを歩くかもしれないので、スリッパはできれば底が厚めなものがよく、笛は救助を呼ぶときに役立ちます。
非常食も普段からの備えがとても大切です。「ローリングストック」という言葉があり、日頃から消費しながら備蓄することです。
賞味期限切れで、廃棄せざるを得ないということを減らせると注目されていて、日清食品などは、コンロやカップ麺など9種類が入って、3か月ごとに非常食が自宅に届くサービスもやっています。これを機会に非常食の賞味期限をチェックしてみるといいと思います。
首都直下地震は、今後30年以内に起きる確率が70%と言われています。いつ来るか分からない大地震に備えて、正しい防災知識を身につけ、できる限りの備えをしておくことが、地震大国日本に住む私たちが今できることだと思います。
(2021年10月8日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)