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大河川から離れていても「内水氾濫」注意を

2021年10月16日 17:53
大河川から離れていても「内水氾濫」注意を

東日本を中心に大きな被害が出た台風19号から2年。浮き彫りになった課題をお伝えします。大雨で下水などの排水機能が追い付かず地上に水があふれる「内水氾濫」についてです。どのような場所に危険があるのでしょうか?

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東京・世田谷区にある大学キャンパス。校舎のまわりには水の侵入を防ぐために、防水板が設置されています。

東京都市大学では、2年前の台風19号で地下にあった図書館が水没。8万冊をこえる本に被害が出ました。このため大学は敷地のまわりを壁で取り囲んだり、建物の入り口に防水板などを設置。電気設備などを地下に置かないなど浸水対策を進めています。

多摩川流域の世田谷区や大田区では住宅の床上まで浸水する被害が相次ぎました。「内水氾濫」と呼ばれる災害です。

平常時、雨水などを集めた下水や小さな川の支流は、大きな川・本流へと流れ込んでいます。しかし、大雨によって大きな川の水位が上がると水が流れ込めなくなります。すると本流から下水や支流に逆流、住宅地で水があふれることがあります。これが「内水氾濫」です。

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台風19号では、堤防ギリギリまで水位があがり、危険な状態になった多摩川。決壊や大規模な氾濫はなかったものの、流域が浸水して大きな被害がでました。「内水氾濫」はどんな場所でおきたのか?私たちは防災の専門家とともに現地を取材しました。

東京大学大学院客員教授・松尾一郎さん
「地盤が低い。低いところに水が集まる」

最初に指摘したのは、周囲より低くなっている土地。浸水の深さはピーク時2メートルを超え、天井に迫るほどだったといいます。

東京・大田区では、ボートで救助される住民も相次ぎました。さらに、内水氾濫による被害を大きくした要因の1つがここにも…。谷沢川が多摩川に合流する場所(東京・世田谷区)にある水門です。

東京大学大学院客員教授・松尾一郎さん
「(多摩)川の水が逆流して市街地側があふれる。そういう原因のもとになるので、水門を閉めて谷沢川と本流を縁切りする」

逆流を防ぐはずの重要な役割をする水門ですが、谷沢川周辺でも大量の雨が降ったため、水門閉鎖によって行き場を失った川の水が住宅街を浸水させたのです。

東京大学大学院客員教授・松尾一郎さん
「大きな本流に注ぎ込む支流の氾濫、内水氾濫はこれからの雨の降り方を考えると茶飯事になる」

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一方、川崎市中原区にある下水の排水施設です。ここから逆流した水によって武蔵小杉駅周辺が浸水。タワーマンションが停電するなど大きな影響がでました。

このため川崎市では、水の逆流や水位データを監視。水門を遠隔でも操作できる仕組みに切り替えるなど対策を進めています。さらに、5か所の水門の水位データとライブ映像をホームページで公開、誰でもチェックできるようにしました。

川崎市下水道部管路保全課・後藤正寛課長
「浸水対策に力を入れて取り組んでいるが100%浸水を防ぐことができない、難しい。(公開しているデータを)自助の取り組みに活用してほしい」

大きな川から少し離れていたとしても、下水や支流から水がおそってくる内水氾濫。雨の降り方が極端になる中、地域を流れる川の水位や変化をしっかりと知って早めに備える必要があります。