沖縄で大量の軽石の被害 関東にも漂着か
小笠原諸島の海底火山から噴き出したとみられる大量の軽石が漂着している沖縄県で27日、緊急の対策会議が開催されました。国内では戦後最大級とされる今回の噴火。来月には関東沿岸にも軽石が漂着する可能性も指摘されています。
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青い海を浸食するように沖縄県に流れ着いた軽石。広範囲を灰色に染めた原因は、今年8月、小笠原諸島の海底火山福徳岡ノ場で起きた大規模噴火です。
この噴火で噴き出した軽石が、およそ1400キロ離れた沖縄県に流れ着いているとみられています。
深刻な影響を受けていたのは恩納村のリゾートホテル。自慢のビーチを見せてもらうと、27日も次々と軽石が漂着。
ホテルモントレ沖縄・横山寛統括支配人「左手がかなり漂着している状況ですね」
そのため欠かせないのが、軽石の除去作業です。作業は毎日5,6時間かかるといいます。
ビーチの脇には、この1週間除去し続けてきた軽石の山ができていました。
“全室オーシャンビュー”が魅力のホテル。コロナが落ち着き始めこれから、という時期に見舞われたこの事態に。
ホテルモントレ沖縄・横山寛統括支配人「お客様がこれから戻って来ていただけることを期待しながらですね、清潔な環境作りを日々やっているところでございます」
“悲鳴”は漁協からも。27日行われていたのは、もずくの種付け作業です。
揚げたてさくさくの天ぷらにさっぱりといただきたい、もずく酢。沖縄といえば、全国一のもずくの産地ですが、その養殖作業が進められないといいます。
勝連漁業協同組合・玉城謙栄参事「これから海に網を出すという作業の真っ最中なんですね。それが今軽石が海面に浮いているということで、今漁場に出られないという状況ですね」
船のエンジンが軽石を吸い込み故障する恐れがあるため、出港できないということです。
――もずくが食べられない可能性も?
勝連漁業協同組合・玉城謙栄参事「来年ですよね、来年は(海に)出られないわけですから、僕らとしても危惧していますけどね」
すでに深刻な被害が出た場所もありました。
国頭村の漁協が育てていたのは、グルクマと呼ばれるサバの仲間。300匹ほどをいけすで育てていましたが、その半数ほどが死にました。エサと間違え、軽石をのみ込んだとみられるということです。
27日、沖縄県は緊急の対策会議を開催。漂着状況や撤去の方策などを話し合い、早ければ今週中に漁港の軽石撤去に着手したい考えです。
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軽石をめぐっては、フリマサイトに数多くの軽石が出品されている現象も。「軽石・小笠原」で検索すると、その数は100件以上。中には8000円で購入されているものもありました。
今回の噴火の規模について、新たな事実も明らかに。
産業技術総合研究所・及川輝樹主任研究員「マグマの出た量としては桜島の大正噴火まではいかないが、それに次ぐクラス。戦後では最大級といっていいかと思います」
度産業技術総合研究所によりますと、噴煙の高さは海上16キロから19キロに達していて、軽石や火山灰などの噴出物の量は、少なくとも東京ドーム80個分相当に推定されるということです。
そのため、影響はさらに広がる可能性も。
海洋研究開発機構が行ったシミュレーションです。軽石を示す青色は日本の南海上を漂流し、今月沖縄に到達。その後、軽石は四国や関東の沖合に流れ着くという結果に。
海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門 主任研究員・美山透さん「沖縄の西に黒潮が流れていまして、この黒潮にこれから(軽石が)乗る可能性があります。早ければ、四国のあたりに11月初旬、関東あたりには11月下旬までにたどり着く可能性がある」
実際に過去には。
平塚市博物館学芸員・野崎篤さん「平塚周辺の海岸に漂着した福徳岡ノ場から噴出した軽石の資料」
福徳岡ノ場では、1986年にも噴火が起きていて、その時の軽石が神奈川県平塚市に漂着。数年海を漂ってからたどり着いたとみられ、中には珊瑚の一部が付着しているものもあったということです。
当時、軽石による影響はなかったといいますが、噴火の規模が大きく異なる今回、どういう影響が出てくるか予想は難しいといいます。