“10万円給付”内容は「バラマキ」批判も
自民・公明の与党は、18歳以下の子供を対象に、10万円を給付する公明党の案について、検討を始めました。ただ、「誰に」、「どう配るのか」、与党内でも意見が分かれています。
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■新たな“5段階”コロナ対策指標 現在はどのレベル?
最新の感染状況について、7日全国で確認された感染者は162人となり、日曜日としてはことし最も少なくなりました。東京で21人と、11日連続で30人を下回っていて、大阪では39人、愛知で16人となっています。
また、亡くなった人は0人でした。死者の報告がなかったのは去年8月2日以来のことです。
こうした感染状況の変化を受けて、8日、政府の分科会は、緊急事態宣言を出す前提となる、感染状況の評価の基準について、「新たなレベル分け」をまとめました。
これまでは、コロナ対策を行う際の指標として、都道府県ごとにステージを1から4の4段階に分けて対策の内容を判断してきました。しかし、ワクチン接種が進んで重症者が減ってきていることなどを踏まえて、新たな指標にということです。
今回の案では、0から4の5段階に分ける案を、専門家らがまとめました。医療体制の確保を重視するものです。以下がそれぞれのレベルの内容です。
レベル0「新規感染者数ゼロを維持」
レベル1「安定的に一般医療確保」
安定的に一般医療が確保できて、コロナの医療にも対応できるレベル
レベル2「段階的に病床数増やし適切な医療ができている」
レベル3「一般医療を相当制限しないとコロナ医療に対応できない」
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの対策を講じる必要があるレベル
レベル4「一般医療を大きく制限してもコロナの医療に対応できない」
災害医療的な対応が求められるレベル
分科会は、「レベル1」を「維持すべきレベル」としていて、日常生活や社会経済活動の段階的な回復が可能になるとしています。
現在は、感染者数も落ち着いてきていますが、新たな指標では、どのレベルにあてはまるのでしょうか。8日、分科会の尾身茂会長は「感染が安定している。現在はおそらく『レベル1』と言ってもいい」ということでした。
また、今回の新しい分類の目的については、以下のように話しました。
政府の分科会 尾身茂会長
「感染の状況を、医療がひっ迫しない水準に抑えて、社会経済、それから教育、日常生活を取り戻すための一つの分類、これが目的です」
新たな指標では、感染状況、例えば「新規の感染者数は引き続き注視はするが、医療ひっ迫の状況をより重視する」、というのが基本的な考え方だと話しました。
■公明党提案 “一律10万円給付”内容は?
8日、給付金についても新たな動きがありました。
自民・公明の与党は、コロナ禍での経済支援策について、協議を始めました。注目されているのが、公明党が主張している「18歳以下への一律10万円の給付」です。
8日午後、自民・公明両党の幹事長が国会内で協議を行い、金額や給付対象について話し合いました。
公明党 石井幹事長
「10万円相当ということで、必ずしも現金にこだわっていません。現金あるいはクーポンなりポイントなり、中身は組み合わせも含めて、今後詳細を検討」
公明党の案について整理します。
・対象は18歳以下のすべての子供たち
・所得制限なし
・1人あたり10万円相当
さらに、マイナンバーカードを持っている人や、これから取得する人に1人あたり3万円相当の買い物などに使えるポイントがもらえる案も、この案とは別に提案しています。
これはカード持っていれば、誰でも受けられるという案になります。マイナンバーカードの普及や消費の喚起が狙いとしています。
■「バラマキ…」、「ターゲットを…」与党内で意見分かれる
そして、「10万円給付」については、与党内で意見が分かれています。
公明党の案では、所得制限をつけないことになっています。これについて、ある公明党幹部は「所得制限をつけたりしたら時間がかかってしまって、いつまでに渡せるかわからない」としています。
ただ、一律で給付することについては、「バラマキなのではないか」という批判も出ていて、自民党内では、「ターゲットをしぼった方がいい」という意見が出ています。
ある自民党幹部は、「(公明党案は)ちょっと難しいよね。所得制限なしで、しかも1回限りでしょ?基本的には困窮世帯とか、弱い立場にある方々をどう定義して、そこにどう効果的な対策を打つかという話だと思うんだけどね」と話しています。
また、ある政権幹部は「簡単にぜんぶ丸のみにはならないよ」と、慎重な意見も上がっていて、公明党の主張がどこまで盛りこまれるのかは、不透明な状況です。
この経済対策ですが、今月19日には閣議決定したい考えです。12月に臨時国会を開いて補正予算を決めるので、その中身を決めないと議論できないことになります。そのため、このようなスケジュールになっています。
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コロナの長期化で困窮する世帯に資金の支援が必要なのは言うまでもありません。一方で、去年1人10万円の特別定額給付金を配った時には、富裕層にも一律に配ったので、多くが貯蓄に回ってしまったという分析もあります。貴重な財源ですから、財政負担に見合った経済効果が得られるのか、十分に吟味してほしいです。
(2021年11月8日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)