食の多様性 官公庁で「ヴィーガン革命」
食を通したSDGsや、食の多様性が加速する社会。東京都千代田区役所では、区議会議員の提案を契機に、地域に開かれた区役所の食堂にヴィーガンメニューが導入されました。植物性食材だけでつくった地球に優しいキーマカレーで「ヴィーガン革命」が広がりつつあります。
■いま、なぜ「ヴィーガン」か
「ヴィーガン」とは完全菜食主義者のこと。ベジタリアンと違い、卵やチーズなど動物由来の製品もNGで、肉を含む動物性のものが一切使われていないのが特徴です。
「ヴィーガンメニュー」の導入を推進する「ミートフリーマンデー・オールジャパン」事務局長の小城徳勇さんによると、「ヴィーガン」の食スタイルは、地球温暖化を食い止め、資源を守り、多くの動物の命を助け、そして、より健康な身体を手に入れることを実現できる有効かつ簡単な手段ということで、最近、社会全体にスピーディーに浸透しています。
2017年4月、内閣府食堂は行政機関として日本ではじめて「ヴィーガンメニュー(週一)」を導入しました(現在は毎日提供)。その後、2018年に東京都庁、2020年に東京都台東区役所、2021年に気象庁の食堂が、週一もしくは毎日のヴィーガンメニューを提供開始しました。
2019年、千代田区議会の一般質問が行われた際、小野なりこ議員が「食の多様性」を訴えたことを契機に、食堂リニューアルの今年10月のタイミングで、「ヴィーガンメニュー」がスタートしました。東京都において台東区役所に続いて、区役所食堂として2か所目となります。
■植物性食材だけでつくった地球環境に優しいメニュー
「ヴィーガンメニュー」が始まって1か月あまり、記者は食堂を訪ね、「野菜仕立てのキーマカレー(550円)」を試食しました。「お肉やお魚を使わなくても美味しいものが作れるの?」と考えながら一口を食べたところ、お肉に似た食感の大豆ミートがしっかり入っていて、カレー特有のスパイスが効き、野菜のうま味を堪能できるヘルシー&ボリュームのある一品です。
「私はお肉もお魚も食べますが、身近な食から地球の事情を捉え、自分ごと化することで見えてくる物事があります」と話す、小野なりこ区議。「実は、農林水産省が現在、ヴィーガンやベジタリアン向けの食品に適合する日本農林規格(JAS)を新設しようとしています。今月末までにJAS原案が作成され、来年3月にも制定される見通しです」と紹介しました。
官公庁の食堂で広がりつつある「ヴィーガン革命」。ヴィーガンやベジタリアン対応かどうか、一目でわかる「ベジJASマーク」は、来年にも身近な飲食店やスーパーなどに登場するということです。