子どもの脳に悪影響も…体罰は「良いこと何もない」 親が“カッとならない”コツは?
29日からゴールデンウイークが始まりますが、家族で過ごす時間が長くなる中で、子どもの“イヤイヤ”に大人もイライラ。しかし、たたく、怒鳴るなどの行為が、子どもの脳に影響を与えることがわかってきました。親が“カッとならない”コツを専門家に聞きました。
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児童虐待防止全国ネットワーク理事 高祖常子さん
「『もう、なんでこんなに言うこときかないの!』と思ったら、『ふう~』と深呼吸してみたりとか」
子育てのNPO活動を続ける高祖常子さんは、体罰や暴言をやめようと呼びかけています。コロナ禍でイライラが募る中、怒鳴らないコツなどを伝えました。
高祖さん
「(冷静な脳の)動き始めに、5~6秒かかるそうです。『爆発しちゃう』と思ったら、子どもが安全な場所にいれば、自分がちょっと離れる」
2児の母親は、「つい手が出てしまったときに『たたかないで』と言われて、ハッと思って『ごめんね』って謝ったりとか、クールダウンってわかっているけど、できなかったことだったので、それをいったん取り入れてみようかな」と話しました。
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子どもへの体罰や暴言は、2年前の4月に法律で禁止されました。子どもの権利を認めるため、そして、子どもの脳に影響を与えるとわかったからです。
8年間、激しい体罰をうけた人たちを集めて平均した、脳の画像解析の結果によると、前頭前野という感情や理性に関する部分の容積が、約2割減少しています。この変化は、うつ病の一種や非行につながる可能性があるといいます。
福井大 子どものこころの発達研究センター・友田明美教授
「1回くらいでは脳が変形したり、物理的に変わることはないですが、体罰が結果的に子どもの精神症状を出させたり、素行障害といって、悪い行い、非行に走らせる。親は良かれと思って行う“愛のムチ”が、1個も子どもにいいことをもたらさない」
体罰とは、暴力のほか、「ベランダや部屋に閉じ込める」「激しくどなる」「『お兄ちゃんはできたのに』などきょうだいと比べる」「激しい夫婦げんかを見せる」なども含みます。
では、どうすればいいのでしょうか。
高祖さん
「『もうたたかない』ってね、決めましょうということで」
厚労省のリーフレット作りにもかかわった高祖さんによると――
■イライラしたらその場を離れる。
■深呼吸、手や顔を洗う。
■空腹や多忙など、自分がイライラしがちな状況を把握し、防ぐ工夫をする。
■選択肢を示して、子どもに相談する。(例えば、公園から帰りたがらない場合、あと3回滑り台で遊ぶか、すぐ帰って明日も来るか選ばせるなど)
これらが有効だといいます。
教育評論家の尾木直樹さんは、子どもが「イヤだ」という場合、背景にある理由を聞くことをすすめています。
教育評論家・尾木直樹さん
「自分の意見を尊重して聞いてもらえた子は、必ず他人の意見も聞く耳を持ちますから。聞いてもらえたタイプ(の子)が、自己肯定感を高めるんですよ。自己肯定感が高い子は挑戦意欲高いし、他人に優しくなるし」
尾木さんによると、家庭のルールでも、校則でも、「子どもの意見を聞いて決める」と、子どもは責任をもって守るようになるということです。