高齢者を中心に増える重症者 “ワクチン3回目接種”進まず…
24日、東京では新たに1万169人が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、依然、高い水準が続いています。こうした中、今、医療現場では高齢者を中心に重症化する患者が多いといいます。その背景には、進まない“3回目接種”が関係していました。
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院内に響く心電図の音。重症の60代男性はこの時、緊急の処置を受けていたといいます。中等症も重症もほぼ満床だという神奈川・横須賀市にある横須賀共済病院。
横須賀共済病院・長堀薫院長
「第5波はワクチンを高齢者がほぼ打ち終わったところだったので、 (第5波の)デルタ株の時は(病院で)中等症から重症化するという方が多かった。家とか施設で過ごされていて、(いまは)来られてから重症とか、あるいは救急車で搬送されるという人が多いですね」
第6波では、悪化した状態で運び込まれる患者も多いといいます。厚生労働省によりますと、今年最多の全国の重症者は、今月21日時点の1504人です。亡くなった方は、22日の322人が過去最多の報告数となっています。
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訪問診療を行う医師も、高齢者のブースター接種の重要性を訴えます。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長
「オミクロンが軽症とイメージしていただけるのはある程度若い方で、それも2回ワクチンを接種している方に限定されてくるのかなと。第6波ではブースター接種が間に合っていない。2回目の接種から間があいている高齢者というのは、やはりある一定の割合で重症化している。ブースター接種を終えた患者さんですと、比較的感染してしまったとしても、軽症で済む方しか私はまだみていないですけど、2回目から間があいてる方ですとか、そもそもノーワクチンの方は、やはり重症化している方がいる」
第5波で全国の新規感染者が最も多かったのは、去年8月20日の2万5990人で、その頃の2回目接種率は全人口の40%近くでした。一方、現時点での第6波の最多は今月5日の10万5624人でした。その頃、3回目の接種を終えた人は6%ほどにとどまっています。
医師は「3回目のワクチン接種ができていない高齢者が、重症化している」といいます。
医師が訪問診療を行った、新型コロナ陽性となった76歳の男性も、ブースター接種はまだでした。
医師「ワクチンは打ってます?」
男性(76)「打ってます」
医師「良かったです。3回目は?」
男性(76)「まだ。2回目は打っているけど」
さらに、本人にコロナ陽性の自覚はありませんでした。
医師「いつから体調悪かったですか?」
男性(76)「体調悪くないですよ。ずっと透析通っているから週2~3回」
医師「きょう、様子がおかしいと(透析の病院から)言われたんだけど」
男性(76)「様子がおかしいというよりも、かぜっぽい。意外と結構自分でも 大丈夫だと思っちゃうんだけどね」
医師「そこがちょっと怖いとこで、そこで張り切っちゃうと体がもう無理ってバタンといっちゃったりするから」
医師が唇をみると紫の状態でした。男性は重症の手前・中等症2と診断され、翌日入院しました。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長
「高齢者の方だと、熱とかせきとか咽頭痛といった新型コロナに典型的な症状がなかなか出にくくて、そもそもこれがコロナだとは思わなかったという方もなかなか多いです。発症してから診断までに時間があいてしまう、その間に重症化してしまう、そういう難しさがあります」
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神奈川県横浜市では、ワクチン接種を加速させるため、24日から接種券なしで受けられる3回目接種の予約を開始しました。2回目から6か月が経過し、3回目の接種券が届いていない基礎疾患がある人などが対象です。
接種券なしでの接種は25日からで、24日正午時点で65%以上の予約枠が埋まったということです。
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24日の東京の新規感染者は1万169人。依然として高い水準が続いています。
自宅で療養する人も増える中、山梨県では、ベッドが3つ備わっている部屋があるなど、家族で入ることを想定した宿泊療養施設が先月から稼働しました。
新型コロナウイルス対策本部 宿泊療養班・大澤かおりさん
「家庭内感染が急拡大したことにより、家族・親子で使えるような施設を開設しました。家族内の感染というのがやはり多く見受けられましたので、ご家族・親子でいられることによって、少しでも心配やストレスがなく過ごしていただければと思っております」
依然、高い水準が続く重症者数。引き続き警戒が必要です。