「介護の方の負担大きく」コロナ患者“高齢者が8割”の病院では
東京では16日、新たに1万7331人の新型コロナウイルス感染者が確認されました。コロナ患者の約8割が高齢者だという都内にある病院では、「現場は悲鳴をあげている」といいます。その理由は…。
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8万人以上が自宅療養をしている東京都で、対応に追われる訪問診療の医師は15日、基礎疾患のあるコロナ患者の男性のもとへ診療に行っていました。
医師
「普段より(酸素飽和度)低めですよね」
自宅療養者(73)
「でも、せきはしてないよ」
医師
「コロナのせいで酸素(飽和度)が下がっているのか、コロナ以外で肺炎を起こしている可能性もあるので…」
この自宅療養中の男性は、腎臓や心臓の病気を抱えている上、コロナに感染し「中等症1」と診断されていました。
医師
「今、重症化するかしないかの、瀬戸際のところです。なんとかしますから、安心してください」
高齢者の往診は1週間ほど前から増加し始め、1日およそ10件をまわっているといいます。
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長
「高齢者ですと基礎疾患を複数お持ちの方がいらっしゃって、基礎疾患をこじらせる方がいらっしゃったり、そもそも自分の異常を外に出せない(伝えられない)ので、駆けつけたときにはすでに重症化している」
――感染者の症状で、これまでと第6波で違いは?
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長
「(オミクロン株は)比較的すごくぐったりしているという人は少ないんですけれど、『自覚症状とリンクしていない』ところが非常に難しいんですよね。直接の診療が必須ですので、時間的・マンパワー的に負担あります」
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一方、大田区にあるコロナ患者を受け入れる病院では、16日朝、「全部抱えると本来の機能が立ち行きませんから…」とスタッフに周知していました。
この病院では中等症患者34人を含む123人が入院し、そのうち約8割が高齢者だといいます。
荏原病院 野津史彦副院長
「コロナ診療+介護――むしろ介護の方の負担が非常に大きくて、現場は悲鳴をあげているという状況」
今後、課題になるというのが、症状が改善した患者の「受け入れ先探し」です。スタッフは入院患者の家族に「『ベッドが空きそうなので調整できそうですよ』と…」と連絡していました。退院後「行き場がない」ことも――
荏原病院 野津史彦副院長
「(介護)施設の方でクラスターがあると、(介護)スタッフが充足できないので、迎え入れられないだとか、(家に)陽性者の方がいて、おじいちゃん・おばあちゃんの『戻ってくる場所がない』ということもあるわけなんで、(退院できないと)新たな患者さんを 受け入れられない状況に今後、陥るかもしれないので、危機感もって動いています」
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東京では16日、1万7331人の新規感染者が確認され、8日連続で前の週の同じ曜日の人数を下回りました。また、全国の重症者は前日から41人増えて1444人となりました。死者は230人で、埼玉県では初めて、10代の死亡も確認されました。
死亡した10代の男子学生は基礎疾患はなく、ワクチンは2回接種していたといいます。今月2日に40度近くの発熱の症状を訴え、翌日、陽性が判明。自宅療養中も40度を超える高熱が続き、6日に家族が119番通報しましたが、高熱以外の症状がなかったため、搬送されませんでした。
翌7日に容体が急変したため入院しましたが、9日に死亡したといいます。死因は、血管内に血栓ができる播種(はしゅ)性血管内凝固症候群だということです。
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こうした中、軽症・中等症の実質病床使用率が80%を超えている大阪の吉村知事は――
大阪府 吉村知事
「非常に厳しい状況、特に医療がひっ迫している状況の中で、“まん延防止措置”の延長、これを要請したいと思います」
政府関係者によると、今月20日に期限を迎える21道府県へのまん延防止等重点措置について、北海道や大阪など少なくとも15の道府県の期限を延長する方針で、期限は来月6日までで調整しています。山口・沖縄・山形は解除する方向で調整していて、18日に正式決定することにしています。
感染収束の見通しについて、16日夜、厚労省アドバイザリーボードの脇田座長は「われわれとしても、全国の感染者数のピークを越えたと考えている。だいたい2月の上旬にピークを越えたと考えていますけど、感染者のピークに遅れて重症者・死亡者のピークが来る。感染者数をしっかり下げていくことが、(重症者・死亡者を減らすために)重要になってくる。(まん延防止等)重点措置を解除するとしても、感染対策を十分に今後も注意する必要がある」と述べ、引き続き注意を呼びかけました。
(2月16日放送『news zero』より)