仕事変えず地方に「テレワーク移住者」決断の理由・悩みは?
新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及する中、仕事を変えないまま、都心などから周辺の県に移り住む「テレワーク移住」の動きが出ています。新たな生活を楽しむ人たちなどを取材しました。
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東京のターミナル駅、新宿駅構内の大型ビジョンに、岐阜県の移住生活の魅力を伝えるPR動画が映し出されていました。
今週から期間限定で流れていて、「岐阜県」移住者が、自然を楽しみながら生活や仕事している様子などを紹介しています。
動画を見た通行客
「風景とか映像とかみると、やっぱり行きたくなります。(移住を)考えちゃいます」
新宿駅で初めて行った岐阜県の試み。その狙いとは…
岐阜県地域振興課移住定住係 長屋透主査
「在宅勤務が進展してきたことで、仕事を変えずに住む場所を変えることが可能となっているので、これをチャンスというか (PRの)契機にとらえまして」
岐阜県が狙うのは、転職せずに移住する「テレワーク移住者」。移住をめぐっては、次のようなデータが。
先週、総務省が公表した統計によると、去年、に東京23区から転出した人が、転入した人をおよそ1万5000人上回りました。比較可能な2014年以降で初めての転出超過です。
それとは逆に、初めて転入者が転出者数を上回った茨城県。西部にある境町は、年々、移住者が増えています。
その境町に去年、埼玉県戸田市から移り住んだ池田さんは──
埼玉・戸田市から移住 池田さん(33)
「妻もリモートで仕事していたので、『都内でこだわる必要がないよね』って(移住した)」
「テレワーク移住者」となった池田さんは、都内の電機メーカーに勤務。職場には、時々、出社するといいますが──
池田さん
「高速バスがあれば、だいたい済んでしまうので、通勤が増えても、まだ許容範囲かなという距離と思っている」
境町には電車の駅はありませんが、去年から東京駅への直行バスが開通しています。
関東鉄道 バス運転手
「サラリーマンの方もいるし、若い方、買い物に行ったりする人もいます。『助かる』という声は何人かから聞いたことがあります」
バスで直行できることも、「テレワーク移住」の後押しになっているようです。
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神奈川・逗子市から長野・佐久市に移り住んだ伊藤さんも「テレワーク移住者」です。
神奈川県から移住 伊藤侑果さん(31)
「(コロナ禍で)商談などもリモートでオッケーだよ、というふうな格好になり、『どこでも生活できるぞ!!』というところで、息子も生まれるし、子育てしやすい環境をというところが一番のきっかけになっている」
個人でWEBコンサルの仕事をする伊藤さんは、去年、移住を決断。一方、悩みも──
伊藤さん
「最低気温マイナス10℃という世界なんですけど、エアコンはほとんどきかないので、石油ストーブを併用したりするんですけど、そうなってくるとお金がかかってくる」
寒い地域ならではの問題もあるといいます。
佐久市移住交流推進課 荻原あゆみ課長
「都会からの仕事を、そのまま引き継いで持ってくるというのは、移住に関してはハードルが低くなります。田舎ならではのデメリットもありますので、そういうことも、しっかりこちらの方から説明しながら、失敗のない移住にしてもらいたい」
佐久市では「テレワーク移住者」などを対象に資金援助などを行っているということです。
地方の環境整備が進むに従い、今後もテレワーク移住が広がりそうです。