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トラブル増加 「糖尿病治療薬」でダイエット…“重篤な副作用”の可能性も? 日本医師会「不適切」

2023年12月21日 5:43
トラブル増加 「糖尿病治療薬」でダイエット…“重篤な副作用”の可能性も? 日本医師会「不適切」

「無理せず痩せられる」、「注射するだけ」…いま、こうしたフレーズで話題となっているのが「メディカルダイエット」。オンライン診療で「糖尿病」治療薬がダイエット目的で処方され、トラブルが増加しているとして、20日、国民生活センターが注意を呼びかけました。

■“ダイエット目的のオンライン診療”のトラブル相談…約9割が「糖尿病」の治療薬に関して

小栗泉 日本テレビ解説委員長(日米の政治・外交に精通)
「(国民生活センターへの)相談例としては、たとえば…

『基礎疾患の問診はなく、届いた薬を1か月ほど服用したが、頭痛・吐き気・めまい等の副作用が出た(40代女性)』

『定期購入とは聞いていなかった。糖尿病の薬を、低血糖の自分が飲んではいけないのでは?と不安になったため、解約を申し出たけれども「キャンセルはできない」と返信があった(30代女性)』

こうした“ダイエット目的のオンライン診療”でのトラブルの相談は、2021年4月~今年10月までの2年半で234件あって、その約9割が「糖尿病」の治療薬に関する相談だということです」

有働由美子キャスター
「かなりの割合ですね…」

■日本医師会も「不適切」と問題視 “重篤な副作用”の可能性も?

有働由美子キャスター
「そもそも、糖尿病の薬をダイエット目的で使うって、いいんですか…?」

小栗 解説委員長
「これは、ダイエット目的であっても、全額自己負担の『自由診療』であれば、医師が処方できてしまい、日本医師会も『不適切』と問題視しているのですが、大きく分けて2つの問題点があります」

「1つは、健康被害の可能性。

この「GLP-1受容体作動薬」という薬は、2型糖尿病の治療薬としては承認されているのですが、ダイエット目的としては承認されていません。

厚労省も、ダイエット目的の使用について『安全性・有効性は確認されていない』、『思わぬ副作用による健康被害につながるおそれがある』と注意を呼びかけていて、

神戸大学大学院の小川教授(日本糖尿病学会)も『副作用としておう吐・下痢・便秘のほか、急性すい炎や低血糖になる危険性も否定できない。どのくらいの頻度で何が起こるか、まだデータがないので、服用するなら、重篤な副作用があると思ったほうがいい』と指摘しているのです」

有働キャスター
「副作用を考えると怖いですね…」

小栗 解説委員長
「そうですよね。そして、もう1つの問題点というのが、“薬が必要な人に届かない”ということ。厚労省は、『在庫がひっ迫していて、治療を必要とする糖尿病患者に薬がいきわたらないことも懸念される』としています」

有働キャスター
「これ(“薬が必要な人に届かない”こと)も本当に困ることですけれども…辻さんは、どう考えますか?」

辻愛沙子(28) クリエイティブディレクター(SNSを活用したヒット企画多数)
「もちろん、購入者側がリスクや、実際に治療している人たちのことを正しく理解する必要があるというのは思います。

ただ、医師が処方している以上、安心してしまう人もいるでしょうし、悩んでいる人からしたら、求めてしまう側面というのも正直あると思います。

だからこそ、売る側がコンプレックスにともするとつけ込んで、商売最優先で広告や情報発信を過度にしていくということの責任は本当に重いと思います。医師である以上、消費者の健康リスクを第一に考えるのは当然なんじゃないかなと」

有働キャスター
「“ダイエットしたい”というその気持ちは、わからなくもないですけれども、薬には副作用があって、健康被害が起きても、補償が受けられない可能性もあります。自分の体の安全、これを第一に考えてほしいなと思います」


(12月20日放送『news zero』より)

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