被害相次ぐ中 県内各地で行われるクマ対策
人がクマに襲われる被害、そして人の生活圏での出没が相次ぐ中、県内では各地で独自のクマ対策が行われています。被害が深刻化するなか、広がるあの手この手の対策。地区住民の要望を受けて始まった潟上市の取り組みと、外国人観光客も多く訪れる仙北市の抱返り渓谷を取材しました。
先月9日の夕方、潟上市飯田川では、農作業を終え市道を歩いて自宅に向かっていた男性がクマに襲われました。この被害を受けて集落を見下ろす高台に急きょクマ対策としてスピーカーが設置されました。
スピーカーの設置に携わった山平鈴男さん。山平さんは地区内で流れる有線放送を半世紀以上に渡って担当しているエンジニアです。「いますぐできるクマ対策を」と地元の自治会から要望を受けて急きょ、取り付けたスピーカー。朝6時から夜8時までの間に1日5回、大きな音を集落内に響かせています。
山平鈴男さん「金属音チャイムなんですけど鳴らすことで確実に近寄ってないですよ。もっと間隔を短く放送できないかと自治会から依頼されていて、いまその準備を進めています」と話します。
山の木々の色づきが進む仙北市の観光名所の一つ抱返り渓谷。玉川沿いの遊歩道5か所に先月、クマ除け用として鉄パイプが設置されました。鉄パイプを設置した仙北市の担当者は抱返り渓谷を訪れる外国人観光客のことも考えて、いまできる対策を考えたと言います。
仙北市観光課 泉谷衆課長は「過去にはやはりクマの目撃情報もあったりした場所ですので、このままただお客様を歩かせるわけにはさすがにいかない。複数の場所に設置することで、そこを通過する方が鳴らしてってくれれば、断続的にその音が響くということで、少しでもクマを遠くに追いやってくれるものになればありがたい」と設置した目的を述べています。
各地で迫られ、行われているクマ対策。県のクマ対策専門の職員近藤麻実さんは、クマとの鉢合わせを避けるためには、音で存在を知らせるという基本的な対策がやはり有効だと強調します。
県ツキノワグマ被害対策支援センター近藤麻実さんは「音を鳴らすということは一目散に逃げてもらえないとしても、目の前で会うのを避けられるという意味で、してほしいことです。普段の生活の中で第一の被害者にならないために、まず鉢合わせを避けるという意味でやっぱり音は鳴らしてくださいというところです」と話します。
県内ではほぼ全県で人の生活圏でのクマの目撃が続いています。庭先のクリやカキの木をはじめクマが求めるエサがある限り、このあともまだ同じような状況が続くと懸念されています。
県ツキノワグマ被害対策支援センター近藤麻実さんは「今年のクマは食べられそうなものはなんでも手を出しているので、クリが終わったらカキに移行する可能性が十分考えられます。渋ガキでも食べます。出没はもっと長引くし集落の中までもっと入ってくる可能性もありますので、予防的に早めのもぎ取りや、実を落として回収して燃えるゴミに出すことを是非やっていただきたい」と対策を呼び掛けています。