秋田県の人口動態統計 出生率29年連続・婚姻率24年連続で全国最低 自殺率は全国ワーストを脱却
厚生労働省は去年1年間の人口動態統計を公表しました。秋田県は今年も出生率や婚姻率が全国で最も低くなりました。特に出生数は2年連続で4000人を下回る危機的状況です。
止まらない少子化や婚姻率の低下について専門家は「要因は若者の出産意欲の低下にある」とした上で、雇用環境の改善、特に若者の賃金アップが重要だと指摘しています。
厚生労働省によりますと、去年1年間に県内で生まれた子どもの数は3611人でした。統計開始以降、最も少なく2年連続で4000人を下回りました。
また人口1000人あたりの出生率は4.0で、29年連続全国最低となりました。
1人の女性が一生のうちに産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、おととしよりも0.08ポイント下がって1.10。都道府県別では4番目の低さでした。
婚姻数は前の年よりも145組少ない2302組。人口1000人あたりの婚姻率は2.5で、こちらは24年連続で全国最低でした。
止まらない少子化や婚姻率の低下について専門家は「要因は若者の出産意欲の低下にある」とした上で、雇用環境の改善、特に若者の賃金上昇が重要だと指摘します。
日本総研 藤波匠 上席主任研究員
「賃金の問題というのは非常に重要で、日本の場合は長期にわたって賃金が、特に若い世代ほど抑えられてきたという経緯があるんですね」
「特に大学を出たような高度人材と言われるような人たちというのは、より良い雇用を求めて全国移動していくわけですね」
「地域の経済界がやっぱり若い人たちの経済雇用環境を良くしていくんだ。若い人たちに定着できる環境を提供していくんだ。ということを考えないと、行政の取り組みだけでは少子化も人口減少も止まらない」
さらに日本総研の藤波匠さんは、台湾の半導体メーカーが熊本に進出し、地域全体の賃金相場が大幅に上昇したことなどを引き合いに、企業経営者自身の意識改革が必要ではないかと指摘しました。
「昔は日本人の中の内輪で賃金なんてね最後に上げればいいやぐらいに、もうここ30年ぐらい上がってこなかったわけですよ。でももうそういう時代ではなくて」
「世界同じ賃金ですよっていうことを前提に商売してるわけですよね。日本だから日本の賃金でみたいなことは言わないわけですよ。そういったグローバリゼーションの中で自分たちが商売やってるんだ、会社経営してるんだっていう意識が必要になってくるんじゃないかと思いますね」
出生数や婚姻数の減少について佐竹知事は「所得水準の低さや多様な働き先の少なさを背景に、20歳前後の若者の転出超過が続いた」とした上で「県内企業と連携した新たな奨学金返済助成制度を創出するなど若者の県内定着・回帰を促進していく」コメントしています。
この20年近くで東京や全国平均との賃金格差はさらに広がっています。若者の定着や少子化を食い止めるために官民を挙げた対策が必要となっています。
なお、おととし全国で最も高かった自殺率は、去年、5番目となり全国ワーストを脱却しています。