記録的大雨から3週間 由利本荘市で聞いた住民の声 住宅が被害を受けた人も 被害をまぬかれた人も今後の生活に不安を抱える
先月の記録的な大雨の降り始めから3週間。100棟近くの住宅が被害に遭った由利本荘市では住み慣れた自宅を取り壊さざるを得ない人がいます。住人からは解体にかかる費用の支援を求める声が聞かれました。一方で、住宅の被害は免れたものの今なお不安を抱えながら生活を続ける人もいます。取材しました。
子吉川の支流があふれ多くの住宅が浸水被害に遭った由利本荘市久保田地区です。
ここで生まれ育ち、妻と3人の子どもたちと暮らしていた木村賢一さんはいま、親戚の家に身を寄せています。
木村賢一さん
「(家財道具で)使えるものはなにもないですね、はい、水に浸かって、ま、知り合いとかいろいろ手伝ってもらって運び出してもらって、うん」
自宅は木村さんの腰の高さまで水に浸かりました。
木村さん
「こっちがまず昔の建物で、昔だったら人集まって盆、正月、宴会とかしてたんですけど」「ちょっとまた今度命の危機にもなるので、安全な場所っていうかま、新天地になるんですけど生まれ育ったこのうち…まあ、忍びないですけどね」
家族と過ごし、たくさんの思い出が刻まれた我が家。ここで再び暮らすことは諦めざるを得ず、木村さんは取り壊すことを決めています。
それでも「じっとしていられない」と毎日自宅に通って泥のかき出しなどをしている木村さん。いま最も求めているものは行政からの支援です。
木村賢一さん
「解体費用とかできれば国でも県でも市でも補助があれば助かりますね」
今後しばらくは市営住宅で暮らすことにしていますが、その後の生活再建の道のりは見通せません。
住宅の被害を免れたものの今なお不安を抱えながら生活を続ける人もいます。
先月の大雨の影響で崩れた斜面。
その土砂は木村トミ子さんの自宅の敷地に押し寄せてきました。
「ここな。あそこ平らだったなや、こうがばっと。山から崩れてきて。」
押し寄せた土砂は小屋の壁を突き破りました。
木村トミ子さん
「怖いよ、怖いです雨降ればまたこの山よ崩れてくるんでねえかなと思ってよ。いますけど。」
土砂は自宅の目前まで迫っていました。由利本荘市が10日までに土のうを設置して応急的な対応にあたりましたが、土砂を取り除くことで再び崩れるおそれがあるとして、本格的な復旧は来年度以降となる見込みです。山林の整備事業として県が復旧工事をすることになっています。
木村トミ子さん
「早く、ここよ、片付けてもらいたい。それが一番のお願いです。」
また大雨や雪が降って被害が拡大することはないのか。
このままの状態で冬も乗り越えなければいけない木村さんは大きな爪痕と不安の中での生活を続けています。