遺体男性に付着していた黒い毛「クマかどうか特定できず」 DNA鑑定の詳細に迫る
鹿角市の山林にタケノコ採りに入り遺体で見つかった男性に付いていた黒い毛のDNA鑑定が行われました。毛の状態が悪かったため、クマかどうかを特定することはできませんでした。
DNA鑑定が行われた県立大学の研究施設を取材しました。
県立大学にあるバイオテクノロジーセンターは、人以外の動物や植物、それに魚介類などのDNA鑑定を行っています。
水野幸一教授
「クマですけど今回のとは全然違う、もちろんもうずっと昔のサンプルです」
「まぁ肉からDNAを抽出する操作」
クマによる人への被害が過去最多となった去年は、県立大学では約20件クマのDNA鑑定が行われました。
生物の体の一部を特殊な薬で溶かしたあと、DNAだけを取り出し培養を繰り返すことで鑑定ができるようになります。毛を分析することもあります。
水野教授
「例えば親子関係があるとか、近親のクマであるとか、近親だとかそういうのがわかってくれば、その地域に住んでいるクマなんだなというのが、わかったりとかはするとは思うんですけど」
先月、鹿角市十和田大湯の山林では、タケノコ採りに入り行方不明になった青森県の男性が遺体で見つかり、その遺体を運び出そうとした警察官2人がクマに襲われけがをしました。
男性の遺体には動物のものとみられる黒い毛が付いていて、県は、県立大学にDNA鑑定を依頼していました。
県によりますとその結果、クマかどうか特定することはできませんでした。
県は、検体として渡した毛の状態が悪かったのが原因だと分析しています。
水野教授
「毛いっぱいついてても、毛だけですもんね。毛根はあんまりないんで、そうすると、毛の部分ってのはタンパク質だけなのでDNAがないんで、毛根の細胞がついた毛じゃないとDNAがなかなか取れない」
これまでクマに襲われた人の体に付いていた毛から、性別や特定のクマを判別できたケースはあります。ただ動物が相手の場合、鑑定に使える検体が手に入りづらいため、明確な結果を得られないこともあるということです。
水野教授
「こういう検査ができる機関って、秋田県内でも限られていると思うので、そこのところをうちの大学としてもサポートしていければいいかなと思ってます」
県は今回の鑑定結果を受けて、鹿角市の山林で見つかった男性の遺体についていた毛によるクマの特定は断念しました。
県立大学は今後も県の依頼をもとにクマのDNA鑑定を続けます。