コロナ禍での“苦肉の策“がヒット 「朝ラー」に「個室サウナ」 水族館では…
新型コロナウイルスで打撃を受けた店などが苦肉の策で始めた取り組みが人気となり、定番化しているといいます。厳しいコロナ禍で生まれた新たなカタチを取材しました。
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記者
「現在、朝の8時ですが、店内には既に、お客さんの姿が見られます」
5日、東京・千代田区にあるラーメン店には、朝から早くも客の姿がありました。そのお目当ては、朝に食べるラーメン、略して「朝ラー」です。
お客さん
「お店が“朝ラー”を始めてから徐々に(食べるのが)習慣化していった感じ」
濃厚スープが自慢の家系のラーメン店のこのお店は、もとは午前11時からの営業でしたが、新型コロナの営業時間短縮の要請を受けて、2年ほど前、午前7時から店をあけることを決断しました。苦肉の策の「朝ラー」が、開店から10分で、満席になる日があるほど人気となったのです。
堀田家 向山裕二店長
「最初はやっぱり『朝からラーメン?』みたいな感じではあったんですけど、だんだん定着してきて、多いときは(売り上げの)3分の1をしめて、朝がなかったら赤字になっちゃうくらいの時もある」
昼以降なら1杯650円からのラーメンが、朝は500円から提供しています。平日、毎日通うほど朝ラーにはまったという人は、「お医者さんに『夜、あんまり脂っこいモノ食べないで』と言われているので、じゃあ朝ならいいかなと」という理由もありました。
苦肉の策で始めた「朝ラー」ですが、今後も続けていくということです。
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神奈川・川崎市にある個室型サウナ店も苦肉の策が、功を奏した店の1つです。
以前はフィットネススタジオを運営していましたが、コロナ禍で業績が悪化し、去年、密を避けるため個室型のサウナに業態を変更しました。すると――
お客さん
「最初から最後まで他の人の目を気にしないで使えるので、すごくいいです」
「一人でゆっくり自分の時間を過ごしたくて、あえてこちらを選びました」
人目を気にせずゆっくり1人で楽しめると、予想以上の客が利用しているといいます。
ロウリューランド 三枝祥栄店長
「いかに安心してサウナを使っていただくかというところは、工夫しましたね」
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苦肉の決断で一時、中止としたものが定番となった施設もあります。
かわうそやペンギンなどと触れあうことができる高知県の水族館は先月、目玉イベントともいえるアシカやトドのショーを全て廃止する決断を下しました。
桂浜水族館・営業企画広報 森香央理さん
「ショータイムを廃止しました」
コロナ前は、毎日約10分間、アシカやトドのショーイベントを開催していました。しかし、コロナで客が激減し、ショーを一時中止したところ、動物が生き生きしたといいます。また、飼育員がショーの台本作りなどの準備がなくなり、動物と触れあう時間ができました。さらに残業がなくなるなどメリットを感じたといいます。
桂浜水族館・営業企画広報 森香央理さん
「いつ来ても、何かが起こるかもしれないという宝探しみたいな感じて入館してくださる」
いまでは、飼育員がえさをあげたり、世話をしている様子を見てもらう機会を作ったということです。