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【NNNドキュメント】耐震化率わずか27%… 相次ぐ水道管の破損と老朽化 災害時への対策は NNNセレクション

2023年10月21日 14:52
【NNNドキュメント】耐震化率わずか27%… 相次ぐ水道管の破損と老朽化 災害時への対策は NNNセレクション
蛇口をひねれば、水が出てくるのが当たり前の日本。だが、「水道」というインフラが危機に瀕している。全国各地で水道管の破損が相次ぎ、耐震化率はわずか27%。明るみになった「水道」の危機。次の大地震で、命をつなぐ水は私たちのもとに届くのか。

いま、全国に潜む地中のリスク。巨大地震で、もし水が止まったら…

「この水が出やんのが、ホンマに不便で不便で」
「日頃使えるものが使えんのは、やっぱり不便ですね」
「普段の生活に慣れ過ぎてるんかな」
「自分らがそうなるとは思ってなかった」
「やっぱり癖で、蛇口はすぐひねっちゃう」
「これはもう非常事態やな」
「トイレ流せないし、お風呂入れないし」

私たちの命をつないできた、水。

「取水場」で汲み上げられた川の水は、「浄水場」で「飲み水」に生まれ変わる。

水道管の長さは全国で約65万km、地球15周分にも及ぶ。近い将来起こるといわれる大災害に向け、大阪市では年間200億円を投入し「耐震管」への入れ替え工事を続けている。

工事担当者
「1日で10~12m程度しか進みません」

地下2mから掘り出された水道管は、なんと60年ほど前に埋められたものだった。

工事担当者
「深いところに古い管が入ってるんですけれども、撤去して、だいたい同じ位置に同じ口径の管を新しく入れるという工事になっています」

しかし工事は突如、中断していた。片側一車線の通行止めで渋滞が発生し、住民の苦情で工事を止めざるを得なくなった。経済活動への影響が大きく、一気に工事を進められない。

「都市部特有」の事情に加え、厳しい財政も「防災」への足かせになっている。

大阪市では、今の料金水準のままでは赤字に転落、防災対策の費用を十分に絞り出せない恐れがある。

大阪市水道局・西原健二 企画課長
「収入はドンドン減っていく傾向だと。その中でやはり耐震化ですとか老朽化した施設の更新は、着実に行っていかないといけませんので。財政的にも、かなり厳しくなってくるというふうには思っております」

水道管の整備を担うのは地方自治体。厳しい財政状況をAI解析で補っているところも。

愛知県豊田市 上下水道局・國枝圭介副課長
「こちらが衛星画像となっておりまして。黄色い点がAI解析し、漏水の可能性区域を落とした部分となっております」

「人工衛星」が地球を回りながらマイクロ波を照射し、水にあたると反射する。戻ってきた波を捉えることで、水漏れの場所がわかる仕組みだ。

愛知県豊田市 上下水道局・國枝圭介副課長
「この効果として、5年間という期間で実施しようとしていた漏水調査が、7か月という短い期間で調査することができました」

1995年1月17日、阪神・淡路大震災。

「みな手伝え、はよ!! 手伝え言うとるねん、手伝え!」

破壊された水道管。燃え広がる火の手を前に水はなく、打つ手もなかった。断水は長いところで、1か月以上続いた。

震災から21年。神戸市が市街地の地下に建設した『大容量送水管』。総延長は12.8km。大阪方面から届く「琵琶湖」の水を、市街地のほぼ全域に送ることができる。

神戸市水道局・坂田昭典 担当部長
「災害が起きたときに市民がどういう状況に陥るか、どうすればそういうことが起こらないようにできるかという目線で整備計画をたてています」

震災で得た教訓が生きていた。近い将来、起こるとされる巨大地震。全国で起こる相次ぐ水道管の破損・老朽化は深刻で、激しい揺れが襲えば大きな被害は避けられない。

その時、水は、届くのか?

2023年4月2日放送 NNNドキュメント’23『水道クライシスー巨大地震 その時 水は届くのかー』をダイジェスト版にしました。

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