陥没した穴での捜索を断念 別の方法での捜索を検討 事故14日目…救出を阻む“3つの壁”とは
埼玉県八潮市で道路が陥没した事故から、10日で14日目です。消防は、陥没した穴での捜索を断念し、下水道管内への別の方法での捜索が検討されています。
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埼玉県八潮市の陥没した道路は、かつての面影を失いました。埼玉県によると、下を通る下水道管の少なくとも2か所が壊れているといいます。一方から水があふれ出し、もう一方に流れ込んでいるのでしょうか。転落した男性の救助を、この水が阻みます。
9日に行われた捜索活動。その時間は短いものでした。
八潮消防署 佐藤徹司署長
「水の影響により、スロープの崩壊危険が新たに発生したため、消防で実施できる陥没穴での捜索は終了」
手がかりは見つけられず、捜索活動は30分足らずで終了。
八潮消防署 佐藤徹司署長
「陥没穴での発見の可能性はないと判断し、キャビン(運転席部分)らしき物がある場所での捜索に移行」
“運転席部分とみられる物”が見つかったのは、穴から100~200メートル下流にある下水道管の中。ドローンによって発見されました。
県などは、この中での捜索を目指したいとしています。しかし、立ちはだかるのは“3つの壁”です。
1つ目は「水流」。これが速い状態で、救助隊員が流されてしまう恐れがあります。
2つ目は、隙間から水が流れ出ているという「堆積物」。
埼玉県 大野知事
「このせき止めている物が一緒に水と流れると鉄砲水になって、ここにいる人たちが大変危険なことになる」
そして、3つ目は「硫化水素」です。
八潮消防署 佐藤徹司署長
「下水管渠(かんきょ)内は水流や硫化水素濃度が高いため、引き続き、関係機関と検討してまいります」
下水に含まれる生ゴミなどの有機物から発生する硫化水素。現場はこの濃度が高い状態だということです。
硫化水素は空気に触れることで硫酸になり、今回の陥没事故の原因とみられる下水道管の“腐食”を引き起こします。
厚生労働省によりますと、硫化水素中毒による労働災害は2023年までの20年間で68件発生。36人が亡くなっています。下水道管点検でマンホールに入る際の事故などが多いということです。
10日午後5時ごろ、現在の対応を発表した埼玉県。
埼玉県 大野知事
「地上からの削孔が管渠(かんきょ)まで到達しましたので、これを活用して今後の水の流れや“キャビン(運転席部分)”の状態をはじめ、下水道管内の状況の的確な把握に努めていただきたい」
現場より下流の2か所で、下水道管に通じる穴を開け、内部の状況を把握していくということです。
11日で発生から2週間。段階を踏んだ救出活動を余儀なくされています。