「ゆっくり茶番劇」第三者が商標登録で......ネット騒然 代理申請の事務所は「後悔ある」、取得者は使用料10万円“撤回”
顔だけのキャラクターが特徴的な機械音声で話す「ゆっくり動画」。原作者と無関係の第三者が「ゆっくり茶番劇」の文字を商標登録し、ネット上で騒動になりました。商標の取得者は年間10万円の使用料が必要としていましたが、16日夜に「使用料の支払いは不要」としました。
■誰でも自由に…1000万件以上の投稿
「ふーーー!自由だー!!」
東方ダンマクカグラ公式チャンネルでは、顔だけのキャラクターが、特徴的な機械音声でしゃべる動画が投稿されています。「ゆっくりしていってね」というフレーズから、「ゆっくり動画」と呼ばれています。
ゲーム「東方Project」のキャラクターをモチーフに作られ、制作者らは、このキャラクターを使って誰でも自由に動画を投稿できるとしています。このチャンネルでも「皆もゆっくりを使って色々作ってくれたら嬉しいです」と呼びかけられています。
「ゆっくり実況」や「ゆっくり解説」など、東方Project25年記念サイトによると、複数のサイトに1000万件以上(2020年10月時点)が投稿されているといいます。
■ゆっくり動画は「棒読みで面白い」
東京・渋谷で16日、「ゆっくり動画」を見たことがあるか聞きました。
会社員(23)
「ありますね。解説系の動画で、『ゆっくり実況』として見たことがあります」
会社員(20代)
「ポケモンの実況で見ました。けっこう棒読みで面白いこと言ってくれます」
■商標登録のルールは「早い者勝ち」
この「ゆっくり動画」をめぐり、原作者でもない無関係の第三者が、「ゆっくり茶番劇」という文字の商標権を取得しました。「ゆっくり茶番劇」の商標を使用する際は、年間10万円の使用料が必要になると主張しました。
ネット上では「みんなが自由に作れるゆっくり茶番劇を商標登録しないでほしかった」「はやく商標取り消してほしい」などと訴える声が飛び交っています。
第三者による商標登録に、問題はないのでしょうか?
商標権に詳しい井上義隆弁護士は「他の方が使っている文字やマークなどを、第三者が先駆けて商標登録するのは、日本の制度として認められています。早い者勝ちというのがルールです」と言います。
■代理申請の事務所「後悔はある」
一方、商標登録の代理申請をした事務所はコメントを発表しました。事前の調査で、「ゆっくり茶番劇」が広く知られたものではないと判断して申請したもので、手続きに問題はなかったとしました。
この事務所は取材に「『ゆっくり』というキーワードを、もっとユーチューブで調べられていたら(反響の大きさに)気づけたかなという後悔はあります。『依頼者が登録するのはちょっとまずいんじゃないですかね』と言えたのではないかと」と答えました。
商標を取得した人物は、登録したのは「ゆっくり茶番劇」の文字だけであり、「ゆっくり動画」のキャラクターは変わらず誰でも使えると説明。さらに16日夜にツイッターを更新し、10万円としていた使用料の支払いは不要とすることに決定したと発表しました。
(5月16日『news zero』より)