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医師“過労自殺”遺族が病院側提訴 亡くなる1年前に同僚が「業務緩和」病院に訴えも

2024年2月3日 1:50
医師“過労自殺”遺族が病院側提訴 亡くなる1年前に同僚が「業務緩和」病院に訴えも

兵庫県の病院で若手の医師が過労自殺した問題で、遺族が病院側に2億3000万円あまりの損害賠償を求めて提訴しました。私たちは、過酷な勤務実態を訴える同僚の音声を入手。訴えに、病院側の対応は。

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過労自殺した医師の高島晨伍さんの母・淳子さん
「ひとえに晨伍の死が無駄になり、晨伍の死が何もなかったようにされるのは、家族として許すことはできません」

涙を浮かべながら強く訴えたのは、息子で医師の高島晨伍さん(当時26)を過労による自殺で亡くした母・淳子さんです。

遺族は、晨伍さんが勤務していた神戸市の甲南医療センターを経営する「甲南会」と具英成理事長に対し、2億3000万円あまりの損害賠償を求め提訴しました。

過労自殺した医師の高島晨伍さんの母・淳子さん
「晨伍は甲南医療センターで働いていなければ、(私たちは)立派な消化器内科を目指す晨伍を応援していくことができました。そして、患者さんのために責務を果たし、後輩医師の指導を行っていたと思います」

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晨伍さんは、研修を受けながら診療にあたる専攻医として甲南医療センターに勤務していましたが、2年前、自ら命を絶ちました。

晨伍さんは患者の治療のほかに学会の準備などに追われ、過酷な日々を過ごしていたといいます。労働基準監督署によると、晨伍さんは100日間休みなく勤務し、亡くなる直前1か月の時間外労働は、207時間に達していたといいます。これは「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に上回ります。

しかし、病院側は、時間外労働には“自己研さん”の時間も含まれている上、「過重な労働は負荷していない」と主張していました。

こうした中、晨伍さんが亡くなる1年前に同僚の専攻医が“業務の緩和”を病院に訴えていたことが明らかになりました。私たちは、このときのやりとりを記録した音声を入手しました。

専攻医(2021年5月)
「4月の専攻医の平均残業時間は、100時間をこえていたと考えています。このままでは患者さんの命に関わると考えられますので、業務緩和をお願いします」

病院幹部(2021年5月)
「僕らも昔の世代で先生(専攻医)と意識が違うんやけど、主治医をしていると(週末でも)「今日、あの人どうしているかな?」と見に行きたいときあるじゃないですか。半分は勉強や、自分を鍛えるための」

時間外労働は“勉強の場”だと訴えは退けられたといいます。また、複数の元専攻医によると、病院側から業務時間を“調整”するよう圧力もあったといいます。

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過労自殺した医師の高島晨伍さんの母・淳子さん
「病院が、晨伍の死に対して全く病院の責任はないとする、その不誠実な対応に死の悲しみを上回るのではないかと感じるほど、憤りと悲しみと失望にさいなまれました。どうすれば晨伍の死に向き合う態度をとってくれるのでしょうか」

遺族の提訴を受け、病院側は「真実に基づき、誠実かつ適切に粛々と対応して参る所存でございます」とコメントしています。

(2024年2月3日未明放送『news zero』より)