音楽イベントで“落雷”……テントも危ない? 地面を伝わる「地電流」か もしもの時の「雷しゃがみ」【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「音楽イベントで“落雷” どう避ける?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●“強烈な落雷”避難は?
●雷どう対策 屋外では?
富田徹・日本テレビ解説委員
「栃木県で開催されていた音楽イベントで、落雷が原因とみられる事故が起きました。警察によると8日午後4時半ごろ、栃木・真岡市の公園で『負傷者が複数いる』との通報がありました」
「公園では音楽イベントが行われていて、10代から20代の清掃スタッフ9人が足のしびれを訴え、6人が病院に搬送されたということです。警察は落雷が原因とみて調べています」
鈴江奈々アナウンサー
「9日も宮城から沖縄まで広い範囲で全国各地で天気が不安定になり、雷注意報も出ています。天気が急変してしまうと、イベントなどを開催していると多くの人が集まっているので対応も大変だったでしょうね」
富田解説委員
「当時何があったのか、時系列で見ていきます。主催者側の説明では、午後3時半すぎに発雷が確認されたため、観客などの避難誘導を行っていたといいます」
「そして午後4時20分ごろに2度落雷があり、そのうち1つはテントの近くにある木に落ちたとみられています」
「当時現場にいた人は『木の下で雨宿りしていたが、会場の中央に集まるように指示があった。1回爆発音のような強烈な落雷があり、観客は動揺した様子だった』と振り返ります。『自分の目の前の木に雷が落ちたので驚いた』と話している人もいました」
斎藤佑樹キャスター
「今回はイベントということですが、ゴルフをしたり公園で遊んだりしている時に、本当のところはどう動いたらいいのか知りたいです」
森圭介アナウンサー
「会場には避難場所もあったということなんですよね?」
富田解説委員
「そこもポイントで、避難場所がどういう場所だったのか見ていきます。会場内には、避雷針による保護エリアが3つありました。避雷針があることで、そこを中心に雷が落ちにくくなる空間ができるというものです」
「今回このイベント用に避雷針を貸し出した会社に話を聞きました。一般的な避雷針は、雷を引き寄せてわざと落雷させることで、周囲に雷が落ちるのを防ぐ仕組みです。ただ今回使われたのは、逆に避雷針が一定の範囲をカバーして落ちにくくするタイプでした」
「今回の場合は、1つにつき直径200メートルをカバーして避難エリアを作り出していました」
河出奈都美アナウンサー
「では、そのエリアの中にいれば安全だったということなんでしょうか?」
富田解説委員
「はい、今回はこの中で避難していた人にケガ人は出ませんでした。その時の様子が分かる映像があります。避難エリアとみられる場所で、主催者側の呼びかけを受けて、観客たちが姿勢を低くしています。奥には、避雷針が1本立っているのが見えます」
「落雷でケガ人が出たのは、避難エリアの外側でした。木に雷が落ち、ケガをした人たちはその木のそばにあったテントの中に座っていました。避難をするために一旦テントに集合し、避難エリアに移動しようとした矢先に落雷があったということです」
富田解説委員
「野球も屋外のスポーツですが、雷への対策は何か記憶にありますか?」
斎藤キャスター
「プロ野球の試合などでは近くに雷が落ちた時に、いったんタイム、中止にしてベンチやダグアウトに戻るようなことはありましたね」
富田解説委員
「とりあえず避難するということですね。雷が鳴っている時にやってはならないことは何だと思いますか?」
河出アナウンサー
「(今回は)雷が木に落ちたということで、木のそばにいるのは危ないんじゃないかなと思います。雨宿りしていたという人もいましたが…」
富田解説委員
「その通りです。知っている人も多いと思いますが、実験した映像があります。木のそばにマネキンを置いて落雷を発生させると、木からマネキンに向かって雷が飛んできました。樹木などから人体に雷が飛び移ることを『側撃雷』と言います」
「雷で死傷する事故の原因のほとんどが、この側撃雷です。ただ、落雷のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授に聞くと、今回すぐそばの木に落雷があってケガをした人たちは、(原因は)側撃雷ではないとみられるといいます」
富田解説委員
「というのも、側撃雷なら燃えたはずのテントが焦げていない、皆さん下半身だけケガをしているという特徴から、今回は『地電流』が起きた可能性があるということです。地電流は、落ちた雷が地面を伝わってきて人に感電するものです」
「今回は木に落ちた雷が地面を伝わってテントの中にいる人に感電した可能性があると考えられています」
森アナウンサー
「雷が鳴ったらとにかく屋内に避難するというイメージはあったんですけど、テントの中も安全じゃないということなんですね?」
富田解説委員
「小林教授によると、安全じゃないといいます」
富田解説委員
「他にも雷について、小林教授に聞きました。カサは安全でしょうか?」
森アナウンサー
「金属でできていますし、高くもなるので危ない気はします」
富田解説委員
「イメージ通りです。小林教授によると、もってのほか。できるだけ姿勢を低くして、雷を避けてほしいといいます」
「では、自転車に乗っている状態と降りている状態、どちらが落雷のリスクが高いか。これもカサと同じで、姿勢を低くする方が安全なので降りた方が落雷のリスクは下がります」
鈴江アナウンサー
「とにかく高さを下げるということですね」
富田解説委員
「子どもを抱っこしているとどうなのか。子どもの背丈よりも大人の方が高いので、ケースバイケースではありますが、大人の方が落ちやすいため抱っこしない方がいい。ただ、何よりも子どもがいるようなら、雷が鳴り始めたら早めの避難が一番いいとのことです」
「公園のあずま屋や屋根つきの場所に避難するのはどうだと思いますか?」
鈴江アナウンサー
「雨宿りしたくなって、ついつい入ってしまいそうですけど…」
富田解説委員
「これもかえって危険だということです」
森アナウンサー
「雷が鳴ったら、公園なら避難してしまいます…」
鈴江アナウンサー
「だいたい、雨ザーザーになりますからね」
富田解説委員
「入りたくなりますが…。では屋外にいた時にどこに逃げたらいいのか、逃げる場所がない時にどうしたらいいのか。近くにコンクリートの建物や車があれば、その中に逃げ込むのが一番安全だといいます」
「もしなければ、『雷しゃがみ』をするといいそうです。しゃがんでできるだけ姿勢を低くした上で、脚を閉じます。そして地面との接地面を少なくするために、つま先立ちします。耳をふさいで鼓膜が破れるのを防ぎます」
鈴江アナウンサー
「脚を閉じた方がいいのは理由があるんですか?」
富田解説委員
「人間の脚は開いて立っていると、電流が(片方の脚から)入ってきて(もう片方へ)抜けていきやすいため、閉じていた方が入ってきにくいそうです」
鈴江アナウンサー
「つま先立ちをするのは、なるべく地電流が流れてこないようにですね。なかなか厳しい体勢ですね」
富田解説委員
「そして、最新の情報を知っておくことも大切です。9日午後4時20分現在の雷レーダーを見ると、関東全域で雷注意報が出されています。出かける前にこうした情報をチェックするのもいいかもしれませんね」
「北関東や都内でも雷や天気の急変が増えていますので、普段から家族で雷の対策を話し合っておくのもいいかもしれないですよね」
(2024年9月9日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)