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生成AI、教育現場では「チャンス」に?……学習内容を個別にアレンジ、誰でも「ベテラン教師」に 進路アドバイスも

2023年5月17日 10:29
生成AI、教育現場では「チャンス」に?……学習内容を個別にアレンジ、誰でも「ベテラン教師」に 進路アドバイスも

進化が止まらないAI。「AIが生成した画像に著作権を侵害された」として、アメリカではアーティストが集団訴訟を起こす事態になりました。一方で、教育現場では大きなチャンスになると注目されています。どんな可能性があるのか、落合陽一さんと考えます。

■落合さん「時代に合わせたルールを」

有働由美子キャスター
「(AIを巡り集団訴訟が起きるなど)アーティストとしては深刻ですが、落合さんはどう見ますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「AIを活用する時代に合わせてルールを変えてしかるべきだと考えています。10年ほど前からこうなることはよく言われてきて、予想されていたことです」

「これからのアーティスト、つまり著作権ベースで生きていく人は、単価を上げるか、コピーされる前提でAIと一緒に作るか、証明書をつけるなどしてコピーされたことを売りにして生きていくか、物理世界でコピーしにくいものを作るか、くらいしかありません」

「そうやって作品を作ってきた人が生き残るのだと思います。それはそれで仕方ない、リアリティーだと思います」

有働キャスター
「その生成AIが、学校の現場では大きなチャンスになると見られています。金沢市で行われたG7教育相会合で、『生成AIは課題がある一方で学習などに好機をもたらす』と発表されました。好機をもたらすとは、どういうことなのでしょうか?」

■生成AIで教育現場はどう変わる?

小野高弘・日本テレビ解説委員
「例えば、オーダーメイドで学べることがあります。1人1人の生徒の理解度に差があることをAIが分析して、個別に学習プログラムを作ろうとか、テストもみんな同じではなく、1人1人に合わせて出題内容を変えて弱点克服につなげよう、などです」

有働キャスター
「最強の家庭教師が学校に一緒にいるような感じですね」

小野委員
「先生も、誰もがベテラン教師になれます。授業中、AIが生徒の表情を読み取って感情を分析します。『今ここ、理解できていない生徒が多いようです』『眠くなっている生徒がいるようです』と言語化して教師に知らせてくれます」

「教師は『あ、そうか』とその場で授業を改善できます。ベテラン教師のような柔軟対応をAIと対話しながらできます。進路もアドバイスしてくれます。学生の成績や履修状況から、今後どの科目に力を入れるべきかや、卒業後の職業の適性までAIが提案してくれます」

■研究者「個の特性生かした教育実現も」

有働キャスター
「ありがたいような、でもモヤモヤします。学生としては、AIと相談しながら学習していく時代が来るのでしょうか?」

小野委員
「そうですね。AIに詳しい研究者の第一生命経済研究所・柏村祐主席研究員は『AIにより、1人1人が学びたいことを深掘りしていける。個の特性を生かした教育が実現する可能性を秘めている』と解説します」

「ただ課題もあり、柏村さんは『学生がAIに頼り、汗をかくことをしなくなると、論理的な思考力や頭の中での処理能力が衰える人が増える恐れがある。AIに頼ってばかりいると社会に出た時に困ると、大人が言い続ける必要があるのではないか』とも指摘します」

■落合さん「AI以前に戻ることはない」

有働キャスター
「落合先生、AIはやはり教育現場を変えるでしょうか?」

落合さん
「変えるに決まっています。僕の考えでは、AIに頼りすぎることを恐れる必要は特にありません。なぜなら、僕らはAI以前に戻ることはないし、とにかくAIをガチャガチャいじって超高速に面白いものをどんどん作ればいいだけなので、ぜひ作ってほしいです」

「旧来の技術を身につけた人間が、自分の身につけたスキルが無になるのを恐れるのは、どの時代も一緒ですから。別に無になってもいいと思います、またやれば(いい)」

有働キャスター
「厳しいけれどリアルですね。確かに私も昔、電卓が出てきた時に『電卓を使うようになったらそろばんは使えなくなるぞ』と言われました」

落合さん
「電卓以前に戻ったことはありません」

有働キャスター
「ないですね。便利なものはどんどん使っていかないといけないと思います。ただその先、私たちは何を勉強するんだろうという、人間の役割(について)は悩みそうです」

(5月16日『news zero』より)

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