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池袋暴走事故から5年 松永拓也さん飯塚受刑者と面会…“やりとり”明かす

2024年5月29日 21:31
池袋暴走事故から5年 松永拓也さん飯塚受刑者と面会…“やりとり”明かす

5年前、東京・池袋で起きた暴走事故で妻と娘を亡くした松永拓也さんが29日、服役中の飯塚受刑者と初めて面会しました。飯塚受刑者は世の中の高齢者に伝えたいこととして、「早く免許を返すように伝えてください」と、松永さんに話したということです。

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事故から5年。29日、松永拓也さんが語ったのは…

松永拓也さん
「飯塚さんに『僕も自分の妻と娘を亡くしたので、あなたのことは許せる日がくるかわからない』『許せないかもしれない』『だけど、あなたのことを認めることはできるかもしれない』。『あなたを認めて再発防止につなげるために面会させてもらって、会ってくれたことそのものに感謝してます』と、改めて伝えました」

…感謝の言葉でした。

2019年に東京・池袋で起きた暴走事故。松永さんは、愛する妻・真菜さん(当時31)と、娘・莉子ちゃん(当時3)を亡くしました。

裁判では、「車に何らかの異常が生じた」と、一貫して無罪を主張していた飯塚幸三受刑者。実刑判決は確定しても…

松永拓也さん(2021年)
「私はずっと(飯塚受刑者が)『自分自身の過失だと思う』と、その一言を言ってほしかったです」

交わることのなかった加害者の主張と遺族の思い。それでも、松永さんは…

松永拓也さん(2023年)
「彼自身が加害者になって思ったこと、感じたこと、経験したことを、私がやったように社会に還元してほしい。彼の本心を聞いてみたい。うそじゃない人間としての言葉を聞いてみたい。だから話してみたい」

交通事故を防ぐため、加害者側の経験も社会に伝えることを望んできました。そして先月、松永さんのもとに届いたのが…

松永拓也さん(先月6日)
「心情伝達制度という制度を使って、結果の通知書が届きました」

心情伝達制度とは、去年12月に始まった、遺族などの心情を刑務所の職員を介して受刑者に伝える制度。松永さんは、この制度を使って飯塚受刑者に面会などを求めていました。

その通知書には、次のように面会を受ける意思が示されていました。

松永拓也さん(先月6日)
「本人は『対談をしてもいいです』と回答した。全てを聞き終えたあと『申し訳ない』と述べた…と書いてあります」

松永拓也さん(先月6日)
「初めて彼と真の言葉、心というのをかわせたような気がして。(面会したら)お互いの加害者になってしまった、被害者側になってしまったという経験を無駄にしないように、今後の事故が防がれるための糧になるように『一緒の視点をともに持ちましょう』と伝えると思います」

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事故から5年。29日に松永さんは面会の日を迎え、約50分、飯塚受刑者と面会しました。

松永拓也さん(29日午後5時すぎ)
「本日加害者と刑務所で面会しました。想像していたよりもかなりお年を召されていて驚いた。ご自身の言葉がうまく出てこないという感じで、具体的な回答をいただくことは難しかったが、イエス・ノーで回答はもらえたので、それはよかった」

「最初の質問で国や自治体でどのようなサービスがあれば、運転をひかえたり免許返納を考えていましたかという質問をした。『病院に行くサービスがあればよかった』と話していました」

「国や自治体は、もっとそういう方を支えてほしい。いまもサービスはあるが、多くの高齢者や家族が認知しているか、たぶん知らない方もいっぱいいると思う」

「そういうことをふまえて質問したら、彼も病院にいくサービスがあればよかったといっていましたので、これは非常に大きな言葉なのではないかと」

「加害者になった経験をふまえて、再発防止の観点から、世の中の高齢者や家族に伝えたいことはあるか、質問をした」

「これに関しては『早く免許をかえすように伝えてください』と言っていた。これは、ご自身の言葉でしゃべっていました」

「それをふまえて国や自治体に伝えたいことは?と質問したところ、高齢者の方の支援をしてほしいと言っていた」

「最後の最後には『ありがとうございました』と、しぼり出すような感じで。正直、言葉がうまく出てこない感じだったので、何個かあきらめた質問もあった」

「彼のことばの中に必ず、再発防止のヒントが隠されている。これは事実だと思う。妻と娘の命が戻ってくれば一番なんですけど、この5年間それがかなわないことに向き合い続けてきて、私にとってこの今回の面会が、2019年におきた池袋暴走事故の集大成だと」

「あの苦しみの日々のあとに、刑事裁判、民事裁判とやって、加害者と面会して、それを再発防止につなげる。彼の言葉を再発防止につなげることが、私にとって池袋暴走事故の集大成だと位置づけている」