【専門家解説】能登半島地震 港の場所が陸に…最大約4mの隆起も【バンキシャ!】
能登半島地震の発生から7日目。国土地理院によると、石川県輪島市の西部で最大4m程度、隆起が起きたということです。なぜこうした現象が起こるのか。地震学などが専門の名古屋大学地震火山研究センター・山岡耕春教授に解説していただきます。(真相報道)
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津波の観測所からデータが届かない原因ともなっている、地震による隆起について、地震の前と後の衛星写真をみると、以前(2010年撮影)は海だった場所が、地震発生後(2日撮影)は陸地になっていることが確認できます。国土地理院によると、石川県輪島市の西部で最大4m程度、隆起が起きたということです。
なぜこうした現象が起こるのか。山岡教授によると、そもそも地震は、断層がずれることで発生するのですが、2つの断層が上下にずれることによって、海底だった部分が海面より上に盛り上がる、つまり、「隆起」したことで「陸地が広がった」ということです。
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──これだけ目に見てわかるくらいに海岸線が変わることは珍しいものなのでしょうか?
山岡教授
「こういう断層で隆起することは当然あるわけですが、これだけ大きい隆起があることは非常に珍しいと思います。こういうことが起きたということは、おそらく戦後初めてだと思います」
──これだけの隆起はどれくらいのスピードで起こったものなのでしょうか?
山岡教授
「大体こういう断層のずれというのは、秒速1mくらいで起こると推測されているので、今回も4m上がった(隆起した)ので、4秒〜5秒の間にこれだけのずれが起きてしまったということなんですね。さらに強い揺れも同時に発生しますから、この断層の上、隆起をしたところでは非常に大きな揺れに襲われて被害も出たと考えられます」
──隆起の範囲はどのくらいに及ぶのでしょうか?
山岡教授
「とくに能登半島の北西の沿岸にかけて隆起をしています。珠洲市から輪島市の市街地の西部まで隆起していて、そういうところでは隆起をした分だけ津波の高さが低くなっているという側面も実はあるんです。これ(隆起)がなければ北の沿岸の津波被害はもっと大きくなっていた可能性はあります」
──漁港も干上がってしまって使えなくなってしまった、という漁師の方の声が上がっています。隆起した土地が元に戻ることはあるのでしょうか?
山岡教授
「このようにずれた断層が元に戻ることは基本的にはないということです。隆起したところが戻ることはほとんどありえないということなんです。この地形をもとに新たに活用を考える、あるいは、港の位置を変えるなどを考えなければいけないという風に思います」
──産業への影響は?
山岡教授
「当面船がつけられないので、産業への影響は避けられないと思います」
──そして今後について、今月1日に観測した最大震度7の地震以降、大きな地震が続いています。能登半島の地震活動はどうなっていくのでしょうか?
山岡教授
「こういう大きな地震が起きた後は、比較的長い間強い地震がたくさん起きるということが知られています。ですので、余震は当面続きますが、ただ地震のマグニチュードそのものは(最初の地震よりは)小さいものが多いですね。しかしながら、そういうことが起きたとしても局所的には強い揺れにみまわれる可能性があるので、揺れに対して注意をしながら復旧や避難生活を進めていただきたいです。壊れかけた家が壊れる、あるいは、がけ崩れが起きるなども注意していただきたいと思います」
──今回のように津波への警戒を続けていかなければならないのでしょうか?
山岡教授
「同程度の津波が起きる可能性は低いとは思いますが、海岸にいた時に強い揺れや長く続く揺れを感じた場合には、情報を待たずに、すぐに逃げてほしいと思います」
──今後の地震についてはどういったことに注意が必要でしょうか?
山岡教授
「今後はやや長期に地震が続くということもありますので、長期的な地震発生に警戒をしてほしいと思います。これまでも何年か経ったあとに地震が起きるということがありました。長期的な地震にも注意してほしいということがあります。揺れがきても安全な場所で過ごすというようにお願いしたいと思います」
(1月7日放送『真相報道バンキシャ!』より)