ryuchellさん…突然の死に悲しみの声 “自分らしさ”発信の一方「覚悟したのにしんどくて怖くてたまらない」
タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんが12日午後、東京・渋谷区の事務所で亡くなっているのが見つかりました。近年は、多様性や育児に関する発信をしてきました。どのような思いを抱えていたのでしょうか。
タレントのryuchellさんが12日午後5時半ごろ、東京・渋谷区の事務所で亡くなっているのが見つかりました。
今年4月のトークショーでは「しっかり向き合えるようになってきたかなというのはありますね。本当に息子の純粋な優しい部分みたいなものに逆に気づかされたり、ありがたいなって思う瞬間もいっぱいあるので」と、11日に5歳になったばかりの息子との向き合い方について語っていました。
4日前、最後に投稿したInstagramには、自らの写真とともに髪の色を変えたことを報告していました。
ryuchellさんを発見したマネジャーが通報。現場の状況などから自殺をはかったとみられるということです。警視庁が、当時の状況を詳しく調べています。
突然のことに、街の人からは次のような声が聞かれました。
会社員(26)
「(最近)せっかく自分を出してきたなと思っていた。これからの行動が楽しみだなと思っていたので」
街の人
「元気というか」
「ポジティブなイメージはあった」
会社員(24)
「えっ、ほんとですか? テレビで人気だったイメージ。最近LGBTとかで今、注目されている感じ。自分は好きな芸能人ではありました」
悲しみの声は、出身地の沖縄からも聞かれます。
沖縄県民
「突然なので、なんて言っていいかわからないですけど。沖縄県出身だから、頑張ってほしかったですけどね」
「今日、YouTubeとか見てたんで、結構面白かったので。やっぱり沖縄県出身の方なので、多様性の中で頑張っていらっしゃるなと思ってました」
■ryuchellさん来歴 近年は「多様性」「育児」取り組み・発信に力を
ryuchellさんは高校卒業後、原宿でショップ店員をしながら読者モデルとして活躍していました。
明るいキャラクターと飾らない語り口でバラエティー番組やイベントなどに出演。当時、同じくモデルをしていたpecoさんと共に「ぺこ&りゅうちぇる」として人気となりました。
2016年に約2年半の交際を経てpecoさんと結婚。その後、2018年に第1子となる男の子が誕生していました。
ryuchellさん(2018年)
「僕が洗濯とかをお仕事の合間に、おうちに一旦帰ってやるっていう生活。やっぱりかわいいから、子どもが。苦じゃないというか、頑張れちゃう」
近年は、多様性や育児に関する取り組みや発信に力をいれていました。
「news zero」は2020年、おもちゃ企業とコラボして配信を行ったryuchellさんを取材しました。配信のタイトルは『#おもちゃに性別いるのかな』です。
ryuchellさん(2020年)
「(子どもへの)いただきもので男の子だからブルーのものが多かったりする。ちょっと違和感がありました。 めっちゃ全部ブルーじゃん。そういう固定観念ができちゃうから、そこはすごくもったいない。レンジャーショーでも絶対、女の子はピンクだし…。植え付けみたいなものがあるから、そういう時代は変えていかなきゃいけない」
おもちゃを性別によって分けない、性別によって様々なことを固定観念で決めつける、いわゆる『ジェンダーバイアス』をなくすことの大切さを発信していました。
ryuchellさん(2020年)
「分け隔てなくいろんな選択肢の中から自分の好きなものを選んだ時に、それが本当に好きなものなので、その壁みたいなものを親から徐々にとっぱらっていくことで、子どもの可能性が広がるっていうふうに思います」
■「上京して『慰霊の日』知らない人が多いのにすごくショックを」
沖縄出身のryuchellさんは、幼少期から戦争を身近に感じてきたということです。2019年、沖縄慰霊の日の2日前に「news zero」に出演し、次のようにコメントしていました。
ryuchellさん(2019年)
「『慰霊の日』と言いまして、『沖縄戦が終わった』と言われている日なんですね。慰霊の日になると、沖縄では学校とかもお休みになって、正午になるとサイレンが流れて“黙祷”のようなものみんなするんです。黙祷をする時は、『うーとーとーをする』と言うんですけど、沖縄で『うーとーとー』とは『お祈りをする』という意味があって、やはり『沖縄戦はすごいひどかった』というのは僕もおばあから直接聞いたことがあって、やっぱりそういうつらい経験がもう一度起きないように平和を祈って、『うーとーとー』を上京しても毎年、行ってますね」
「やっぱり正直、沖縄では慰霊の日は誰でも知っている、改めて平和を祈る日なんですけど。上京してみて、慰霊の日を知らない人が多いというのにすごくショックを受けて、同じ日本人として、日本の平和を祈ることは僕にとって当たり前のことというか、しなきゃいけないことだと思うので、そういう慰霊の日を今日はみなさんに知っていただけたらよかったなと思うのと、また今年も南の島に向かって、慰霊の日の正午にしっかりと、『うーとーとー』平和を祈りたいなと改めて思いました」
沖縄本土復帰50年を迎えた去年も、少年時代に過ごした普天間での思い出を語っていました。
ryuchellさん(2022年)
「音とか怖さは小学校の時に見て、今でも焼きついている。普通にこういう所を歩いていたら、フェンスの向こうから米兵さんに声かけられて、おしゃべりしたりとか」
■夫婦関係を解消 「自分らしさ…出すのも正解だし、おさえるのも正解」
ryuchellさんは去年8月、pecoさんと夫婦関係を解消しました。SNSでは「“本当の自分”と“本当の自分を隠す”ryuchellとの間に少しずつ溝ができてしまいました。多様な生き方を呼びかけてきた僕なのに、“夫”であることにはつらさを感じてしまうようになりました」と説明。pecoさんと人生のパートナーとして生きることを報告していました。
今年4月、新しい家族の形になってから初めて2人一緒に登場したイベントでは、次のように話していました。
ryuchellさん(今年4月)
「普通に生きていく上で自分らしさというものを出すべきなのかおさえるべきなのか。出すのも正解だし、おさえるのも正解だと思うんですね。私は大切な居場所を守るために自分を隠すっていう、本当の自分のものはある程度出さないでおこうと考えたりとかもしていて、それを選ぶのも本当の自分だったと思うんですね。皆さまの中でも『こういうふうに生きていきたい、でも隠そう』それは弱いとかではなく、その選択をしたのも大正解だし、みんなに対して『自分らしく生きなよ』って強要するのもまた違うし、いろんな正解があって、いろんな考え方があるっていうこと。自分らしさについて、そして人らしさを認めてあげる力とか、共感力を得るためにそういうものって考えづらいのかなと思いますね」
『news zero』のパートナーを務める辻愛沙子さんは、ryuchellさんと親交があったということです。カミングアウトした後に、どのような思いを抱えていたのでしょうか。
有働由美子キャスター
「辻さんは、ryuchellさんと親交があったんですよね」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「皆の期待に応えようといつも一生懸命で、同時に自分の心にも正直に生きようと悩みながらもがいていた、本当に本当にすてきな人です。カミングアウトした後にちょっと連絡をとりあっていたんですけど、『覚悟した上なのに、しんどくて怖くてたまらない』と言っていました。でも『同時に、前を向くしかない』と」
「表にはみえていなくても、人には人の悩みや葛藤があって、SNSで見えていることが全てではないし、画面の向こうに同じ生身の人がいることを改めて想像してほしいと思います」
「苦しい時は孤独に感じやすいし、味方なんていないと感じてしまう時もあるかもしれないけれど、きっと1人じゃないですし、もし今、苦しいと感じている人がいたら、『あなたがあなたでいること自体が尊いことだよ』と伝えたいです」
有働キャスター
「このニュースでショックを受けた人がいると思います。まず、心を落ち着けるためのウェブページがあります。『こころのオンライン避難所』。気持ちを落ち着かせる方法などが具体的に紹介されています。それでも、気持ちのやり場がないという人には、電話相談の窓口もあります。『よりそいホットライン』では、24時間いつでも相談することができます。LINEの『生きづらびっと』や『こころのほっとチャット』は、友だち追加で相談することができます。どうか1人で抱え込まずに、一度相談してみてください」
・電話「こころの健康相談」0570-064-556
・LINE「生きづらびっと」友だち追加
・LINE「こころのほっとチャット」友だち追加
(7月12日放送『news zero』より)