首都直下地震で懸念…帰宅困難者の「群衆雪崩」3つの“危険な場所” 専門家「すぐに帰らないことを徹底」
12年前の東日本大震災では、東京だけで350万人を超える帰宅困難者が出ました。首都直下地震では、東日本大震災の時より100万人増えると予測されていて、専門家から“群衆雪崩”の危険を指摘する声が上がっています。
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2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東京でも震度5強の揺れを観測しました。この時に発生したのが、帰宅困難者です。都内だけで350万人を超えたと推計されています。交通網がマヒし、人が街にあふれました。
首都直下地震は30年以内に70%の確率で起こるとされ、都内で約450万人の帰宅困難者が出ると予測されています。こうした中、東京大学・大学院の廣井悠教授が警鐘を鳴らすのは「群衆事故」です。
東京大学・大学院 廣井教授
「いわゆるドミノ倒し、将棋倒しとか言われる現象。近しい例ですと、2001年に明石の歩道橋で発生した『群衆雪崩』。胸部などが圧迫されて、気絶したりする。似たようなことが、100年前の関東大震災でも起きている」
「群衆雪崩」と聞いて記憶に新しいのは、去年10月に起きた韓国・梨泰院の群衆事故です。150人以上の死者が出ました。
群衆事故が起きやすい状況について、廣井教授は電話ボックスを例に挙げます。電話ボックス内の空間に3人から5人が入ったような密集度になると、事故発生の可能性が高まるといいます。
では、地震発生後、どこに人が密集しやすいのでしょうか。1つ目は、渋谷駅などターミナル駅の周辺です。
東京大学・大学院 廣井教授
「(地震発生後は)運行情報などを求めて集まる方が多いので、ターミナル駅周辺は密度の高い空間になる可能性があります」
東日本大震災当日、渋谷駅前にある交番には、情報を得ようと人が殺到していました。新橋駅前、新宿駅にも多くの人で密集状態でした。
2つ目の密集リスクのある場所は、逃げ場がなくなる橋です。東京・晴海大橋では震災当日、多くの帰宅困難者が密集状態で渡っていました。同じ理由で歩道橋も密集リスクが高いといいます。
首都直下地震が起きると、帰宅困難者は東日本大震災の時より約100万人増えると予測されます。私たちができるのは、どのようなことなのでしょうか。
東京大学・大学院 廣井教授
「家族が心配だというのもあると思いますが、すぐに帰らないということを徹底する。自分の会社、もしくは買い物客の方々は、一時滞在施設で、問題のない状況くらいになるまで待機すると。『最大3日(待機)』と言われていますので、(会社などに)備蓄を3日分は用意しておくといいのかもしれません」
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廣井教授が指摘する「最大3日待機」について、「news zero」の火曜日のパートナーを担当する落合陽一・筑波大学准教授はどのような準備をしているのか聞きました。
有働由美子キャスター
「『最大3日待機』ということですが、落合さんはご家族で何か決めていますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は、どの仕事場でも3日間待機できると思いますし、例えばコンピューターなど大事なものは持ち歩いています。子どもには基本的に妻や妻の家族が一緒に居るようにしているので、もし大きな事態があっても無理に移動することなく、連絡を取る手段を探しながらその場にとどまるのかなと思います。後は、猫も最大3日は自分たちだけで過ごせるように水とエサ、トイレが自動になっているので、あまり気にしなくても大丈夫だと思います」
有働キャスター
「さすがです。『最大3日』の待機で、自分の命とほかの人の命も守ることにつながります。これ覚えておきたいですし、もし、旅行や出張など慣れない土地で地震があった時は『一時滞在施設』で待機することになります。住んでいる自治体と一緒に検索すると出てきますので、確認してみてください」
(3月14日放送『news zero』より)