名古屋港水族館『日本初展示となる生物』が登場 特別展「飼育係、南極に行く」が今月12日から開催 「南極の過酷な環境下でも生き抜いている生物の生命力や力強さを見てほしい」
名古屋市港区の名古屋港水族館で特別展「飼育係、南極に行く」が今月12日から開催されます。南極大陸を囲む海域のみに生息する生物4種を公開。
日本初展示となる「メガネカモグチウオ」のほか、名古屋港水族館で初展示となる「ボウズハゲギス」などが見られます。
今回の展示を企画したのは、名古屋港水族館で長年、南極の生物を紹介するコーナーを担当してきた松田乾(つよし)さん(55)。2023年11月から今年3月まで第65次南極地域観測隊として、南極にある昭和基地に派遣されていました。
観測隊では、捕らえた魚の体に発信機を取り付けて、海氷下にいる魚類の行動や生態を解明するための調査を実施。飼育係が初めて南極の地に降り立って調査や採集を行いました。
今回の特別展で公開される生物たちは、常に極寒の過酷な南極の海で生きているため、飼育下では半年前から0℃の冷たい水温、塩分濃度の高い海水での環境に慣らされてきました。南極の海に生息する魚類を飼育するには、強力な冷凍機などで海水を冷却する必要があり、そのような飼育環境を整備するのは容易ではありません。それゆえに日本の水族館などでは、南極の海洋に生活する魚類が公開される機会はこれまで多くありませんでした。
人や船の往来がまれで、常に氷山に覆われている南極という特殊な環境のため、23年に南極観測隊の先遣部隊が昭和基地周辺で初めて確認し、今回初めて生体が日本に連れて来られたのがメガネカモグチウオです。目の後ろにある、メガネのつるのように見える模様が特徴。
ボウズハゲギスは3匹を展示。頭の形が丸く頭頂部にウロコがないのが、名称の由来となっています。銀白色の美しい体色が特徴です。
エメラルド色の輝きを放つ目が印象的な「ショウワギス」は4匹展示されています。
世界中の水族館の中で、展示されているのが名古屋港水族館だけなのは「ナンキョクオキアミ」。体長5センチメートルほどのエビに似た生物で、南極の海洋には豊富に生息しており、その数量は数億トンとも言われています。今回の展示では30匹を公開しています。
松田さんは「南極の過酷な環境でも生きている生物の生命力、厳寒を生き抜く力強さを多くの人に知ってもらいたい」と呼びかけています。
特別展は、来年4月6日まで開催されるということです。