“南海トラフ震源域”で再び震度5弱 前回とほぼ同じ場所でも「巨大地震注意」の発表は見送り 「巨大地震の可能性高まっていない」その理由は?
「またか」と思った人もいたのではないでしょうか。1月13日、宮崎県沖で強い地震が発生しました。震源は去年、初めて南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が出されたときとほぼ同じ場所。巨大地震への影響は…?
宮崎で震度5弱の地震発生 津波注意報も
1月13日の夜9時すぎ、日向灘を震源とする地震があり、宮崎県で震度5弱を観測しました。
地震発生当時、テレビ宮崎の報道フロアでは、フロア全体が大きく揺れ始め、机の上からは物が転がり落ちる様子が記録されていました。宮崎市のスーパーでは、棚から物が落ちて床に散乱。
高知県と宮崎県では一時、津波注意報が発表され、宮崎県内では最大20センチの津波が観測されました。
気象庁は「南海トラフ地震臨時情報 調査中」を発表。これを受けて、三重県では「準備体制」に移行し、職員を招集。一時、対応に追われていました。
地震から一夜あけた14日。宮崎県北部の県道では、山の斜面から崩れ落ちた落石が道路をふさいでいました。付近は通行止めとなっていて、復旧の目途はたっていません。
宮崎市生目の水道管が破裂した現場では、午前9時ごろから修復作業が始まり、地面を掘り起こして中の水道管の状況を確認していました。
この地震により、宮崎市の40代の女性1人が軽傷だということです。
宮崎県から中部国際空港に到着した人に話を聞いてみると、「ガタガタ揺れて、リビングの花瓶が落ちて割れて」「(揺れが)簡単に終わるかなと思ったんですけど、長かったですね」「体感30~40秒くらい(続いた)。焦りもしたしドッキリもした」と話し、不安な一夜を過ごした様子でした。
去年と“ほぼ同じ場所”でも…今回は「巨大地震注意」の発表なし
日向灘を震源とする今回の地震。去年8月には、ほぼ同じエリアでマグニチュード7.1の地震がありました。この時は、初めて南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表され、各地のスーパーで飲料水などが品薄に。三重県では、海水浴場が一時閉鎖される事態になりました。
一方、今回の地震で気象庁は、専門家らによる評価検討会を開き、「南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まっていない」と発表。「巨大地震注意」も出されませんでした。
気象庁:
「ただし、いつ南海トラフで地震が発生してもおかしくないことに留意いただいて、日ごろからの地震への備えを確実に実施していただくことをお願いしたい」
ほぼ同じ場所で強い地震が発生したのに、今回は「巨大地震注意」が出されなかった理由は、マグニチュードが前回より0.5小さい「6.6」だったことにあるようです。
今回は「7.0」未満だったので「平常時と比べ(巨大地震の可能性が)相対的に高まったと考えられる現象ではない」と評価され、調査終了となりました。
気象庁によると、この2つは一連の地震活動ということですが、半年で2回も強い地震が発生すると、いよいよ南海トラフ巨大地震が近づいているのではないかと、不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
評価検討会の委員・横田崇教授は、「日向灘では今後も同じような地震は続くと予想される。過去の事例では日向灘の地震が南海トラフに連動した記録はないが、予測できないので、日頃から地震の備えを」と注意を呼び掛けています。