7歳女児虐待死 母親と内縁夫を起訴 「叱ったときかっとなり殴った」
愛知県犬山市で7歳の女の子が虐待死した事件。7日、母親と内縁の夫が起訴されました。
犬山市に住む7歳の島崎奈桜ちゃん。今年5月、奈桜ちゃんは小学校に入学し、わずか2か月で亡くなりました。
同級生の親:
「すごい優しい子だなっていう印象に残っています。折り紙を折ってあげるという話になって、(息子が)黒が好きだよって話したら、『これあげる』って奈桜ちゃんがくれました」
先月18日、死亡に関与したとして、逮捕されたのは、実の母親とその内縁の夫。
逮捕から約20日となる8月7日、2人は起訴されました。
徐々にわかってきた事件の経緯。
倉田凱被告(32)は、奈桜ちゃんが亡くなる前日の朝、腹部を拳で複数回殴り、死亡させたとされています。
また、島崎みなみ被告(33)は、倉田被告の暴行を認識した上で、奈桜ちゃんが、腹痛を訴え、嘔吐を繰り返すなどしたにもかかわらず、すぐに病院に搬送するなどの措置をとらなかったとされています。
さらに、捜査関係者への取材で、倉田被告が「しつけのため、奈桜ちゃんを叱っていた時に、カっとなって殴った」という趣旨の供述をしていることがわかりました。
倉田被告を「パパ」と呼び、慕う様子も
倉田被告のことを“パパ”と呼んでいたという奈桜ちゃん。
倉田被告を知る人:
「(倉田被告と)しゃべっている時に、(奈桜ちゃんが)「抱っこー」って走ってきたのでだいぶ懐いていると感じた」
3人は、おととし9月から、犬山市で同居を開始。
しかし、わずか3か月後、虐待の疑いがあるとして、病院から児相に通告があり、奈桜ちゃんの一時保護が開始されました。
職員に対し、奈桜ちゃんは「(倉田被告に)パンチされた」と話したといいます。児相は、倉田被告と奈桜ちゃんが関わらないことを条件に、一時保護を解除。
その後、再び一時保護されましたが、奈桜ちゃんが「家に帰りたい」と話したことなどから、去年6月に解除していました。
しかし、実際は、倉田被告との同居は続き、約1年後、奈桜ちゃんは亡くなりました。
二度の一時保護がありながらも、なぜ救うことはできなかったのでしょうか。
自身も、子どもの時に父親から虐待を受けたというNANAさん(25)。
「親から暴力をふるわれて、すごく痛いよ、苦しいよ、つらいよって(思っていても)、やっぱり愛情は感じているんです。虐待を受けているって、助けてって言えない理由は、そこもあるかもしれません。実の親を売るような感じで」
物心がついたころから続いていた虐待。
「もうどうせ、ここからは逃げることはできないから」
また暴力をふるわれるのではないかと思い、まわりにはずっと相談できなかったといいます。
左手首に残る傷。
NANAさん:
「とあることでウソをついてしまって。(父親が)包丁の側面で顔をビンタするんです。途中で私がかばってしまったんです、腕でこうやって。顔を覆った時に傷が入った。包丁で刺されちゃったんです」
高校生の時、手当てを受ける中で、保健室の先生にようやく打ち明けることができ、NANAさんと妹は、児相に保護され、高校卒業まで養護施設で暮らしました。
NANAさん:
「警察でも学校の先生でも、近所のおじさんおばさんでも、友達でも誰だっていいんです。気づいた人がそのSOSの声をしっかりキャッチして助けてあげる。手を伸ばすってことがすごく大事」
NANAさんは、講演会で自身の経験を話すなど、子どもの虐待防止の活動に取り組んでいます。
去年1年間の愛知県の虐待の対応件数は、過去最多の10563件。
子どもの虐待防止に取り組むNPO法人「CAPNA(キャプナ)」。虐待に関する相談を匿名の電話とメールで受け付けています。
対応するのは元児相職員など研修を受けた相談員です。
小出砂恵子 事務局長:
「メール(相談)は減ることなく増えている。年間1000件ぐらい」
メールでの相談の半数は、虐待を受けているという子どもからです。
多いのが「自分が受けている行為は虐待なのか」という相談。
小出砂恵子 事務局長:
「虐待なのか、この子の家では、それが当たり前で分からない。虐待なんだってことは、きちんと子どもに伝えるようにしています」
相談に対しては、行政や身近な人に頼る一歩を踏み出す後押しをしています。
奈桜ちゃんが亡くなった事件を受け、愛知県は、検証委員会を立ち上げ、対応が適切だったか、今後調べていくとしています。