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首都圏で“取水制限”の可能性 まとまった雨降らず利根川上流のダムで渇水の危機

2023年8月8日 22:40
首都圏で“取水制限”の可能性 まとまった雨降らず利根川上流のダムで渇水の危機

今年の夏は、連日のように局地的に強い雨がふっています。しかし、首都圏に水を供給している利根川上流のダム周辺では、7月からまとまった雨が降っておらず、貯水率が激減しています。このまま雨の少ない状況が続くと、今後「取水制限」を実施する可能性もでています。

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8日、首都圏に水を供給している利根川上流のダムのひとつ、群馬県の矢木沢ダムを訪れると、水面と茂みの間で土の斜面がむき出しになっていました。

水資源機構・沼田総合管理所 笠井昭彦管理課長
「満水の状態から約4メートル低い状態が平年的な貯水の状況で、今はそれより10メートル以上低い」

満水時と比べると、約18メートルも水位が低くなっていました。7月30日にはたった1日で1.6メートル水位が下がったといいます。

水資源機構・沼田総合管理所 笠井昭彦管理課長
「7月の雨が平年の半分以下であったということですね」

利根川上流にある9つのダム周辺では、7月からまとまった雨が降っておらず、渇水の危険が出ているのです。

関東でも連日のように局地的に強い雨が降っています。しかし、7月1日時点では9つのダムの貯水量は平均を大きく上回っていましたが、1か月の間に急激に減少。かつて渇水が起きた1996年に匹敵する早さとタイミングで貯水量が減少しているのです。

その1996年には利根川の取水制限が30%となり、プールなどが使用中止となりました。

水資源機構・沼田総合管理所 笠井昭彦管理課長
「このまま雨が降らないと、ダムにためている水にも限りがある。取水制限を行う可能性が出てまいります。予断を許さない状況」

関東地方整備局は、このまま雨の少ない状況が続くと、今後「取水制限」を実施する可能性があるとして節水を呼びかけています。

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水不足は新潟県でも起きていました。妙高市を流れる矢代川が、雨不足と連日の暑さで渇水状態になっているのです。矢代川は、妙高市の水源の約半分をまかなっている生活に重要な川です。市はそのため、約9000世帯に節水を呼びかける事態になっています。

ただ、台風7号の進路などによってはまとまった雨が降る可能性があるため、今後の動きを注視しているということです。

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8日、渇水のピンチが迫る東京都心では最高気温35.9℃と、過去最多となる17回目の猛暑日を記録しました。

東京・渋谷区では、所々に枯れた街路樹や植え込みがありました。都内の街路樹などを整備している造園業者に話を聞くと――

造園業者 中田弘さん
「イチョウの木になりますね。高温・少雨の影響を受けて葉っぱが黄色くなっている。樹木として傷んでしまっている状況」

暑さだけでなく、雨の少なさによる水分不足も影響しているといいます。

造園業者 中田弘さん
「(去年と比べると)20%ぐらい(枯れた)問い合わせ増えています。特に今年は猛暑もそうですけど、ゲリラ豪雨とかも少ない年ですので、その辺も影響あるのかなと」

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異変は身近なところでも起きていました。

練馬区住民
「焼けちゃうんです、暑さで。反対側は大丈夫だけど。みんな枯れちゃうんですよ、水どんどんやっているけど。今年は特にひどいね」

東京・練馬区の自宅の庭で家庭菜園を楽しんでいる男性は、1000種類以上の植物を育てているといいますが、連日の暑さで植物が枯れてしまったと嘆いていました。

練馬区住民
「もう全然だめですよ」

猛暑に水不足。関東ではこの後も気温がかなり高い日が続くということです。

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